# 鉄道

鉄道業界の衰退が止まらない…浮き彫りになった「3つの理由」

「鉄道の日」に、あえて言おう
川辺 謙一 プロフィール

JR発足時からすでに課題はあった

これによって鉄道の貨物輸送は、高速道路網の充実によるトラックの発達や、大型化による船舶の発達によって壊滅的なダメージを受けた。いっぽう旅客輸送は、貨物輸送ほどのダメージは受けなかったものの、新幹線は航空機と、在来線特急は高速バスとの熾烈な競争にさらされた。

つまり、他交通が戦後急速に発達したことで、鉄道中心の交通体系が崩れ、鉄道が一気に斜陽化したのだ。それは、JRの前身である国鉄が経営破綻に陥る大きな要因となった。また、国鉄は財政難ゆえに鉄道の競争力を高める対策をあまりできなかったので、旅客の鉄道離れが進んだ。

国鉄解体を押し進めたのは中曽根康弘首相だった/photo by gettyimages
 

そこで1987年に発足したJR旅客グループは、航空機や高速バスに対する競争力を高めるため、国鉄時代にできなかった列車のスピードアップやサービス向上を図った。その狙いは、奪われた旅客を少しでも取り戻すことにあった。当時は幸い、バブル景気があったこともあり、鉄道でさまざまな改善が積極的に図られ、あたかも鉄道が復活したかのように見えた。

しかし、鉄道が打てる手は、バブル景気が崩壊したころにはほとんどなくなった。いっぽう高速道路網の拡大や航空機の利便性向上の勢いは止まらず、鉄道はますます太刀打ちが難しい状況に追い込まれた。

たとえば千葉県の房総半島の鉄道は、かつて特急列車を増発する特別ダイヤを組むほど、夏季に行楽客で賑わった。ところが近年は特急列車の多くが削減され、館山駅を発着する特急列車が消滅した。この背景には、館山道をはじめとする高速道路の整備や、高速バスの発達、そして東京湾アクアラインの通行料金値下げの影響がある。

つまり、戦前までの未熟だった他交通が戦後になって急速に発達したことが、鉄道衰退の大きな要因になったのだ。それだけ他交通に発達の「伸びしろ」があった結果とも言える

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