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生物の10倍存在!地球が「ウイルスの惑星」であるたった1つの理由

生ガキにも大量の謎のウイルスが…!

“無害な”ウイルスもお忘れなく

人類は今、ウイルスというものの恐ろしさを、身をもって体験している。

だからこそ、あらためて、次の事実も肝に銘じておかなければならない。

──地球は人類の惑星ではなく、いや生物の惑星ですらなく、ほぼ確実に「ウイルスの惑星」なのだ、ということを。

人類史において、私たち人間以外の生物でその名を燦然(さんぜん)と光り輝かせているのは、じつはバクテリア(細菌)やウイルスだったりする(ウイルスは生物ではないが)。ウイルスであれば天然痘やインフルエンザであり、バクテリアであればペスト、コレラ、結核などが挙げられる。

天然痘ウイルスに侵された有名人は数知れず。このウイルスに感染しなければ、“独眼竜”政宗は存在しなかっただろう。歴史的に見ても、ウイルスがその時々において、私たち人類に「厄災」をもたらす存在であったということは、私も否定するものではない。

──しかし、である。

私のように、ヒトとは直接かかわらない“無害な”ウイルスの研究をしていると、ウイルスに対して、その命名の由来となった「毒(virus)」のイメージも、病原体として私たちを苦しめる「敵」のイメージも、そしてもちろん「厄災」のイメージも、まったく持たなくなってくる。

 

生ガキに大量に含まれるウイルス

私が研究しているのは、俗称「巨大ウイルス」とよばれるDNAウイルスたちである。この俗称は、これまでに国際ウイルス分類委員会(ICTV:International Committee for Taxonomy of Viruses)に登録されたミミウイルス科、マルセイユウイルス科の2科と、パンドラウイルス、ピソウイルス、ファウストウイルス、メドゥーサウイルスなど複数の未登録の科(科として提唱されている)を含んでいる。

彼らはおもに、単細胞真核生物であるアメーバ(宿主として最もよく知られているのはアカントアメーバ)に感染し、増殖する。なかでもよく研究されているミミウイルスは、海の水にもたくさん浮遊し、天然物の生ガキにも大量に含まれているので、私たちはときどき、このウイルスを口に入れている。

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それでも、私たちはミミウイルスには感染しない。彼らの自然宿主は、私たちヒトではないからだ(ただし、感染するのではないかと主張している研究者もいるので、まだ不明の部分もある)。

生物は、私たちのように細胞の中に核を持つ「真核生物」、核を持たない原核生物の「バクテリア」、同じく「アーキア」の3つのグループに大きく分けられる。これらのうち、最も大量に地球上に生息しているのは「バクテリア」である。

しかし、ウイルスはそれ以上に、この地球上に大量に存在する連中だ。いや、「連中」などと言っては怒られよう。なにしろウイルスたちは、私たち生物にとって「進化のパートナー」でもあるからだ。