コロナ時代に大ヒットした『地球の歩き方 東京』、その「新しさの正体」

東側に焦点、「暗黙のルール」も紹介
岡本 亮輔 プロフィール

例えば『地球の歩き方 クロアチア/スロヴェニア 2016-2017』では、クロアチアでは水道水は飲まないほうが良いこと、治安は比較的良いがスリや置き引き、偽警官が多いことが指摘されている。一方、スロヴェニアでは、都市部では水道水は飲めるが、一部の農村地域では化学汚染があるという。

『地球の歩き方 東京 2021〜2022』が面白いのは、東京についても、同様の解説をしていることだ。そもそもは、今年開催されるはずだった東京オリンピックを見据えた企画であり、外国人目線で東京を捉えているのである。

「習慣とマナー」という項目では、東京の電車が解説される。満員電車は「東京名物」だが、特に子連れの場合は「危険を伴うほどのすし詰め状況」になると警告されている。また、山手線は3〜5分ごと、地下鉄も2〜7分ごとに走っているので、間に合わなくても慌てる必要はないと教えてくれる。

エスカレーターについては歩行禁止がうたわれているものの、東京では左側に立ち、右側は歩く人のために開けるという「暗黙のルール」がある。ほかにも携帯電話、写真撮影、銭湯と温泉などについて、私たちがいつの間にか自明視していたルールや習慣が紹介されている。

〔PHOTO〕gettyimages
 

東京の歴史観光ガイド

さらに、取り上げられる地域にも特徴がある。

欧米で人気の高い『lonely planet Tokyo』や台湾・中国で広く読まれる『東京攻略完全制霸』では、原宿・渋谷・高円寺といった東京の西側に多くのページが割かれている。

東京は西に向かって発展してきた街だ。江戸時代には郊外だった渋谷や新宿は、最大規模のショッピング街やビジネス街に変貌し、そこから西へと伸びる私鉄沿線に新たな人口を抱えてきた。