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コロナ時代に大ヒットした『地球の歩き方 東京』、その「新しさの正体」

東側に焦点、「暗黙のルール」も紹介

コロナ禍とそれにともなう活動自粛は、私たちの生活に大きな影響を与えた。毎日学校や会社へ行き、友人や同僚と過ごすことすら当然ではなくなった。

とりわけ、23区だけで900万人以上、隣県も含めた首都圏に広げれば、日本の3分の1に相当する4000万人以上が暮らす東京への影響は特に大きかった。他方、人的交流が停滞し、街から人影が消えたからこそ見えてきた部分もある。

かつて写真家マイケル・ウルフは、都内のラッシュアワーの地下鉄を撮影した一連の作品を「東京コンプレッション」として発表した。ウルフの作品は、東京のラッシュを悲惨な地獄絵図として写し出している。

筆者は、小学生の頃から日比谷線で八丁堀や人形町の塾に行き、21時頃の帰宅の際はラッシュに巻き込まれていた。中学・高校には山手線に乗って池袋経由で通い、放課後は新宿の理数系の塾や渋谷の英語塾に通っていた。ラッシュは全く歓迎していなかったが、東京に暮らすコストとして渋々引き受けてきた。

しかし、コロナ禍への対策としてテレワークや分散通勤が広く行われることで、従来の通勤スタイルに問題があることが明らかになった。さらには、毎日登校すること、対面で授業をすること、オフィスに出勤して働くことの意味も、改めて問い直されるようになっている。

 

『地球の歩き方 東京』がヒット中

こうした自明性の掘り崩し、暗黙のルールの再確認という点で興味深いのが、先月発売され、異例の売り上げとなっている『地球の歩き方 東京 2021〜2022』(ダイヤモンド・ビッグ社)である。

『地球の歩き方』は言わずと知れた海外旅行ガイドの老舗だが、ムックなどをのぞけば、初めて日本国内が取り上げられた。地球の歩き方シリーズが便利なのは、一般的な観光情報だけでなく、気候や通貨、コンセントの形など現地の日常に踏み込んだ解説である。