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バフェットが投資した総合商社、株価は「伊藤忠」が独り勝ちのワケ

バフェットの真意と、進む「体質改善」
“投資の神様”ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが日本の総合商社5社に投資したことを発表してから1ヶ月余り。「なぜ商社株なのか?」と疑問に思った向きも多いだろう。バフェットの本当の狙いは? また、株式市場で必ずしも高い評価を受けてこなかった商社株の中で、「伊藤忠」だけが絶好調のパフォーマンスを上げてきた理由とは。
米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が数字で読み解く。

オマハの賢人は本当に「日本」を買ったのか?

「重そうですねー」

証券会社で株式調査のアナリストとして仕事をしていた頃、総合商社担当のベテランアナリストが、やたらと分厚い資料を持ち歩いていたことを思い出す。

それは顧客である機関投資家に配るハンドブックで、個別商社ごとに主要プロジェクトの概要や投資規模、事業ごとの想定利回りなどを詳細にリストアップしたものだった。何しろ「インスタントラーメンからミサイルまで」と言われるほど、総合商社の事業領域は広い。業績にインパクトを与える主な事業だけ拾っても、辞書のようにぶ厚い資料になってしまうのだ。

こんな資料を持って投資家まわりをする時には重くて鞄では運べないから、スーツケースに入れて引きずっていくことになる。

さて、少し前の記事で、「オマハの賢人」「投資の神様」などと呼ばれる著名バリュー投資家、ウォーレン・バフェット 氏が率いるバークシャー・ハサウェイが、膨大なキャッシュを貯めており、市場が調整した時に、それをどこに投資するのか注目されると書いた(参考記事:大荒れの「新型コロナ相場」、乗り切るために一番必要なもの)。

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そうした矢先、8月30日にバークシャー・ハサウェイが、日本の総合商社5社 (三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠、丸紅)の株式を、それぞれ5%超まで保有したと発表し、株価が活気づいた。投資総額は、およそ6000億円。

声明文でバフェット氏は、商社への投資を通じて「日本の将来」に参加することを喜ばしく思うと述べ、持ち株を最大で9.9%まで増やす可能性があることを示唆した。

これを受けて、「投資の神様」が日本の総合商社のどこに価値を見いだしたのか、様々な解釈が飛び交った。商社の事業が多角化されてリスク分散されているからだとか、経済がコロナショックから回復すれば商社が大きな恩恵を受けるからだとか、総合商社の事業形態が世界でもユニークだからだとか、ひいては「日本株へのラブコール」では、という期待も飛び出した。