菅政権の「残念すぎる現実」がいよいよ見えてきた…!

その政治手法と「規制改革」の実態
井戸 まさえ プロフィール

「意味なくキレる親父」政権

菅氏がとってきた政治手法の一つは「ミステリアス感」だ。小池百合子氏のカイロ大学ではないが、人がなかなかアクセスできない地域の出身ということを強調し、それを体現するような雰囲気を醸し出すことで存在価値を高めてきた。

とりたてて個性がないからこそ、故郷をある意味利用したのである。たとえばそれがそこそこの情報がある仙台ではダメなのだ。東北を知らない多くの日本人にとってイメージが浮かびにくい秋田県雄勝郡秋ノ宮村(現・湯沢市秋ノ宮)であればこそ、訛の抜けない話ぶりや寡黙さもプラスに働いたことだろう。

また、官房長官時代には東京新聞の望月衣塑子記者に「あなたに答える必要はない」と逆ギレしたことも話題になったが、今回の日本学術会議への対応を見ても、任命拒否を貫くことに何か積極的な理由があるとは思えない。

突然怒り出す親父というのがいるが、まさにそれだ。怒られた方は自分に落ち度があると思うが、実はそうではない。突然「キレる親父」は単なる思い付きや気分でその行動をしているだけなのである。

病院でも駅でも、暴れるモンスターペイシェントは高齢男性というデータがあるが、昭和の親父が家族にとってきた手法とも言える。日本に住む女性たちなら、家庭で、学校で、職場で、こんな親父に幾度も遭遇した体験を持っているはずだ。

業界団体の締め付け等には、たまにキレた方が、またその理由もわからない方が効果的だったりする。キレられた方は意味がわからないからこそ、さらに忖度する。人心を惑わし、菅氏は相手を混乱させることでコントロール下におけることを体験的に知っているのだろう。加えていえば、これはDVの手法とも共通するのである。

 

が、こと総理大臣となると話は違う。

一つひとつの行動には理由や説明が求められる。官房長官時代のように詭弁で乗り切ることはできない。説明ができないことは、政権のアキレス腱になりうることが、所信表明演説前にすでに明らかになったが、だからこそ、目くらましの政策をまぶしてくる。不妊治療や夫婦別姓等、野党が主張してきたことを政策に取り込んで、批判を封じる。これは菅政権の戦略の一部である。

またデジタル化や行革も、菅氏がやるには意外性があるからこそ国民の評価は上がる。ただ、その中身といえば、冒頭の「婚姻届」「離婚届」のように仏作って魂入れず。理念なき改革であることはすでに露呈している。