菅政権の「残念すぎる現実」がいよいよ見えてきた…!

その政治手法と「規制改革」の実態
井戸 まさえ プロフィール

菅政権「規制改革」の実態

昨今の日本学術会議に関する答弁の迷走ぶりも含めて、どうやら菅総理のやることに大した理由はないのではないか、と気づかされる。言葉に説得力がないのはそのためである。基本的にはイデオロギー政治家であった安倍前総理とは違い、菅総理には確固たる信念があるわけではない。

生い立ちは田中角栄、聖域なき改革路線は小泉純一郎と、自らの見せ方もどこかコピペ感、ミニチュア感がある。また、国会議員の秘書として、議員に成り代わって業界団体と折衝していた「利権屋」としての経験が染み付いているようにも見える。

個人的な経験を言えば、もう30年前のこと、筆者はある政治家の代理で菅事務所に陳情に行ったことがある。

パーテーションで仕切られた小部屋がいくつも並び、壁のガラスには無数のポストイットが貼られていた。その数は、今日、その部屋で菅氏と面接をする人々の数だ。待っている間にも秘書が何度か入ってきて、さらにポストイットを貼っていく。

〔PHOTO〕iStock
 

菅氏は入ってくると、短い儀礼の挨拶をしたのち、こちらの要望を聞くでもなく、満額以上の答えを言った。ただ、陳情を裁くのは菅氏本人ではない。菅氏は仕事を振り、そのコストは業界団体に回すのである。

菅氏は話が終わるとポストイットをとって、ゴミ箱に捨てて部屋を先に出た。ゴミ箱はポストイットの山。今日だけで何人、一生涯にどれほどのポストイットを使うのか、一体何万件の陳情を裁くのかと思いながら、事務所を後にした。

今ある規制のほとんどは自民党が作ってきたものだ。それによって業界を保護するなどして利権構造が保たれてきた。いまさら規制改革をするというのは、その規制にもはやうまみがなくなったのだろう。表向きは改革でも、実際には不用品の放出なのである。それが菅政権の規制改革の実態だ。