菅政権の「残念すぎる現実」がいよいよ見えてきた…!

その政治手法と「規制改革」の実態
井戸 まさえ プロフィール

菅内閣のデジタル化推進に欠けた視点

離婚について、実は、日本のように今日思いついて今日離婚できる「協議離婚制度」を設けている国は非常に珍しい。韓国も同様の制度を採用していたが、子どもがいる夫婦については親教育等を受けたのちではければ離婚できない制度に変えている。

婚姻届や離婚届の変更をするならば、デジタル化によるオンライン申請等といった利便性の問題だけではなく、本来は婚姻・離婚等家族にまつわる「社会統治」の問題として議論されなければならないはずだ。

「本籍」については、戸籍事務のマイナンバー制度導入に伴う紐付けによって近い将来不要となるだろうと法務省内でも言われている。

コロナ禍対応での特別給付金の際に「世帯主」が話題となったが、その根底にある戸籍の「筆頭者」など、家族の中で順位を付ける制度をそのまま残すのか、また、結婚や出産を含め人生の形態が多様化しているにも拘わらず、なお戸籍そのものに内在する「結婚してできる家族こそが家族」という「婚姻家族」規範の問題をどう考えるのか。

「行革」という視点だけでなく、家族や社会についての視点から、記載事項や編成そのものを議論すべきなのだ。その問題から目を背け、根本の議論もせず、単にITシステムの問題として申請手続きだけオンライン化されても、国民が求める本来のニーズとは乖離したものになる。しかし国会議員、ましてや内閣にも、そうした声を上げる人はいない。

 

菅総理からは行政をスリム化される意思は見えても、どんな国にしたいのかという国家観が見えてこないのだ。

婚姻届や離婚届は、単なる届出ではない。個人の生き方や家族制度とも密接に絡んでくる。各人の人生の大きな決断の一つが「ハンコがいらなくなって楽チン!」「家や職場から24時間どこからでもアクセスOK!」という話に収束する問題ではない。

オンライン化をいうならば、裁判所での「脱収入印紙」等を進める方がよっぽど役に立つような気がする。