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激動の東アジア情勢、日本の戦略が「防衛省予算」から見えてきた…!

冷戦期との類似性

防衛省予算から見えてくること

2020年9月30日、防衛省から「我が国の防衛と予算 令和3年度概算要求の概要」(令和3年度概算要求)が公表されました。

防衛省「我が国の防衛と予算 令和3年度概算要求の概要」より

文書の冒頭では「人材確保」「女性の活躍」「働き方改革の推進」など、隊員の確保にむけた施策が記されていて、非常に重要な課題であることがわかります。

ですが、今回私がふれるのは海洋戦略の見地からその次に示されている項目、「領域横断作戦に必要な能力の強化における優先事項」についてです。

「令和3年度概算要求」には「「いずも」型護衛艦の改修(231億円)」、という項目があります。

これは「いずも」型2番艦「かが」の飛行甲板などを改修して空自が導入するF-35B戦闘機を運用するというもので、平成30年末に防衛大綱が見直されたとき、そこで示された、「STOVL機の現有艦艇における運用」という項目を具体化するものです(30防衛大綱)。

防衛省「我が国の防衛と予算 令和3年度概算要求の概要」より
 

STOVL機とは“Short Take-Off and Vertical Landing”、つまり「短距離離陸・垂直着陸」で運用する航空機という意味です。

これは搭載機をカタパルトによって打ち出すのではなく、航空機自身のエンジン推力によって発艦し、垂直着艦する、というもので、1982年のフォークランド紛争において上陸部隊を支援するために防空作戦を実施した、英インヴィンシブル級軽空母とシー・ハリアー戦闘機の組み合わせに似た特徴を有するものとなります。

米海軍の原子力空母は蒸気カタパルトで搭載機を打ち出し、着艦時は航空機の出したフックに「アレスティング・ワイヤー」と呼ばれるワイヤーを引っかけて止める「着艦拘束」という形式です。

これはCTOL、“Conventional Take-Off and Landing”、つまり従来の空母では一般的な形式、とされているのですが、大きな船体に加え技術/運用上の様々なノウハウなども必要となるため、現在この形式の空母を運用しているのは米仏の2か国に限られます。

これに比べSTOVL機は運用すること自体のハードルは低いのですが、離発着で大量の燃料を消費するため搭載する燃料や弾薬の量に大きな制約があります。

(ちなみに中国とロシアの空母は垂直着陸機を開発できていないため「短距離離陸・着艦拘束」すなわち“Short Take-Off But Arrested Recovery”(STOBAR)と呼ばれる形式をとっています)