インドネシアの黒歴史「薔薇チーム」元隊員抜擢人事に非難噴出の背景

次期大統領候補の国防相に人権弾圧疑惑
大塚 智彦 プロフィール

「薔薇チーム」元隊員の復権、暗躍

こうした中、9月25日、26日にインドネシア主要紙が相次いで「薔薇チームの元隊員が国防省の要職に抜擢」というニュースを伝えたのだ。

報道によると、国家テロ対策委員会(BNPT)総務局長だったダダン・ヘンドラユダ陸軍准将が国防省国防潜在脅威総務局長に、西パプア州ソロンの軍司令官だったユリス・セルバヌス陸軍准将が国防省戦略防衛設備庁長官にと、それぞれ国防省の要職に抜擢された。

この2人の人事異動は当然のことながらプラボウォ国防相、ジョコ・ウィドド大統領の承認の上での発令である。

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両准将は1998年当時、「薔薇チーム」の所属隊員で民主運動家誘拐事件に関与した容疑に問われ1999年の軍事法廷でダダン准将は禁固16ヵ月、ユリウス准将は禁固20ヵ月の有罪判決を受けた。しかしその後、上級審の審理で2人とも無罪放免となり、一度はく奪された軍籍も復活、軍人として順調にキャリアを積んできた。

この2人以外にも2019年4月の大統領選挙投票結果(プラボウォ氏が敗北)を受けて5、6月にジャカルタ市内中心部の総選挙監視庁付近で発生したデモ、騒乱状態の現場で「薔薇チーム」の元隊員が目撃され、「犠牲者がでても仕方ないだろう」と話していたと報道されるなど、「薔薇チーム」の元メンバーが現在も治安問題の背後で蠢いている可能性も指摘された。

当然のことだが、こうした元メンバーを背後で庇護し、資金提供している組織や人物が指摘されているが、こうした部分は「不可触の闇」として現在もインドネシア社会に厳然として残されているとされている。