2年前、5歳の子を連れて離婚

「経済的には、まったく痛みのない離婚でしたね。元夫は生活費をほとんど入れてくれない人だったから、離婚して養育費がもらえるようになったので、むしろ楽になったくらい」と、原田桃子さん(仮名・45歳)。

桃子さんは2年前に離婚し、7歳の子どもを育てるシングルマザー。学生時代から「結婚しても出産しても、ずっと働き続けたい」と思っていた。それで大学卒業後は、男女関係なく仕事ができる出版社に就職。転職を経て、いまは広告代理店で働いている。

手取り年収は400万円ほどだが、実は桃子さんは30歳のときに自分のお金でマンションを購入しており、すでにローンは払い終わっている。月3万円の養育費ももらえているので、子どもと2人で生きていくのに不安はない。
そんなしっかり者の桃子さんが、元夫に三行半を突きつけるまでの経緯を聞いた。

夫にとっての「理想の母」「理想の妻」。それが「すべてを完璧にこなす母であり妻であり女である人」ということがある。しかし母親として子どもの世話や家事をひとりで完璧にこなし、妻として夫を従順に支え、女性として魅力的でかつ経済力もある、そんな女性は「普通の女性」ではない。じゃあもし逆の立場になったらあなたはできますか? と聞きたくなってしまう。ライターの上條まゆみさんの連載「子どものいる離婚」で今回お話を聞かせてくれた桃子さんは、自ら働いてローンを返しながら、夫から家事も育児も「理想の母親」を求められてきた。その行く先に待っていたものは――。
上條まゆみさん「子どものいる離婚」今までの連載はこちら

趣味の音楽活動の仲間から恋人に

桃子さんが結婚したのは、36歳のとき。相手は、趣味で音楽活動をしていた、その仲間。同じ年の男性で、建設関係の仕事に就いていた。
「結婚する7年前くらいからの知り合いで、友人の一人という感じでした。大勢でご飯を食べていたとき、たまたま隣の席で『気になる映画があるんだけど』という話から『じゃあ、一緒に観に行こうか』となり、初めて2人だけで出かけた。そこからなんとなく、1対1のお付き合いが始まりました」

共通の趣味がで話が合う。とても大切なことだ Photo by Getty Images

趣味仲間だけあって、話は弾む。交際時は何の問題もなく、楽しく過ごした。気性が荒く、建設業という仕事柄か言葉遣いが乱暴なところがあったけれど、「私にあたるわけではなかったから、まあ許容範囲だと思っていました」

自立志向が強く、男性に依存するつもりがない桃子さんは、よくも悪くも相手を値踏みする習慣がなかった。たとえば、年収とか学歴とか家柄とか家族構成などは気にせず、好きになったから一緒にいた。とても純粋だった。

2年ほど付き合い、「そろそろ子どもが欲しくなって」結婚した。元夫は、桃子さんが住むマンションに転がり込む形で越してきた。すぐに子どもを授かった。