東証取引停止は氷山の一角、デジタル依存社会はここまで危険だ

あまりに多い放置されたリスク
大原 浩 プロフィール

マイナンバー普及推進はよく考えるべきだ

1936年に社会保障局によってニューディール政策の社会保障プログラムの一環として最初に発行されて以来、長年の歴史を持ち、しかも世界のIT市場を牽引する米国でさえこのありさまなのだ……

だから、日本人の多くが銀行預金との紐づけなどのマイナンバー使用に後ろ向きで、紛失時のリスクが高いマイナンバーカードが普及しないのは、日本国民の危機管理意識が高いことの証明とも言える。個人的には廃止しても良いと考えている。

もちろん行政の効率化は必要だが、マイナンバーを導入しなくても、いくらでも合理化できる。その努力をせずにマイナンバー導入を急ぐのは間違っている。マイナンバー導入に向けて費やされる無駄な費用と労力を、その他の本当に必要なデジタル化に振り向けるべきだと言えよう。

政府のデジタル化が十分に進展し、デジタルセキュリティが信頼できると国民が安心できるまで、マイナンバーのようなリスクの高い政策は行うべきではないのだ。

前述記事の「『あなたの口座は世界中の犯罪者に狙われている』あまりに残酷な現実」で述べたように、デジタルセキュリティを万全にしようとすれば、世界中の犯罪者に対抗しなければならない。

また、犯罪者の悪意がなくても、IT機器は故障するものだ。10月1日に東京証券取引所でシステム障害が起こり、終日取引停止となった件については私が執行パートナーを務める人間経済科学研究所代表パートナー・有地浩のレポート「東証のシステムはバックアップが役に立たないことが最大の問題だ」を参照いただきたいが、「万が一の対策」は必須だ。

 

5月31日の記事「武漢と福島第一の失敗は同質…『100%安全神話』の毒に気づけ」で述べたように、日本の「完璧を追求する文化」は、「あってはならないことは起こらない」という誤った方向に導かれ安全対策には熱心だが、その対策が破られた時のことを考えずに「あってはならないことがが起こった時」茫然自失となることがしばしばある。

今回の東証の問題も、その傾向の延長上にあるようにも思われる。

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