2020.10.10
# 北朝鮮

北朝鮮が「ド派手な軍事パレード」で新型ICBMをお披露目する理由

朝鮮労働党創建75周年の今年はどうか
伊藤 孝司 プロフィール

パレード会場の金日成広場とは

北朝鮮の軍事パレードは、平壌市中央に位置する金日成広場で行なわれてきた。

朝鮮戦争での米軍の爆撃で、平壌は瓦礫の山となった。その復興事業の中で、1954年8月、この広場は完成した。広場の現在の面積は7万5000平方メートル。約100万人が入ることができるという。パレードはここを、北側から南側へと抜ける。広場を南北に横切る道路は2本あり、軍事パレードには西側の道路が使われる。

「先軍915」(2017年4月15日撮影)

広場西側には、朝鮮式の屋根の巨大な「人民大学習堂」がそびえ立つ。その前に、最高指導者や首脳部が閲兵をする「主席壇」と呼ばれるバルコニーが設けられている。

そのすぐ下に、来賓らが座る観覧台が左右に分かれて設置されている。平壌駐在の外国大使館職員や外国から訪れた代表団は南側、人民軍幹部らは北側に座る。

広場の南北には、外務省・内閣・労働党などの庁舎と朝鮮中央歴史博物館・朝鮮美術博物館が並ぶ。国内の選ばれた人たちは、広場の南北にある建物の前の仮設席から見学する。なおこのパレードは、観光客は見ることが出来ない。

観覧席の外国人招待者(2008年9月9日撮影)

広場の東側は大同江(テドンガン)に面しており、対岸には1982年に完成した高さ170メートルの「チュチェ(主体)思想塔」が立つ。広場の中心に合わせて人民大学習堂とチュチェ思想塔が配置されており、シンメトリーの景色になっている。かつてこの広場の地下に設けられた商店街に案内されたことがあるが、今はどうなっているのか分からない。

“北朝鮮の顔”ともいうべき金日成広場は、ときどき改修工事が行なわれてきた。労働党庁舎には、カール・マルクスとウラジーミル・レーニンの巨大な肖像画が掲げられていたが2012年に撤去。それに代わって、主席壇の下に金日成主席と並んで金正日総書記の肖像画が設置された。今年になってからは、それらの肖像画と道路の工事が伝えらえられていた。

主席壇の下の肖像画(2018年9月9日撮影)

金正恩委員長が、最初に閲兵したのは2012年4月15日。それ以降、通常兵器の登場は次第に減少し、弾道ミサイルが増えた。これは、米国と対決するのに必要な弾道ミサイル開発に力を集中してきたことの表れである。

 

一概に軍事パレードといっても、この国をめぐる国際情勢や国内状況によってその意味や内容は大きく変化してきた。私はこのパレードを、フリーのジャーナリストとして5回にわたって取材している。

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