2020.10.10
# 北朝鮮

北朝鮮が「ド派手な軍事パレード」で新型ICBMをお披露目する理由

朝鮮労働党創建75周年の今年はどうか
伊藤 孝司 プロフィール

北朝鮮にとっての軍事パレード

「軍事パレード」は、規模や内容はさまざまであるものの、多くの国で行なわれてきた。中国やロシアといった社会主義国だけでなく、フランスでは2017年の革命記念日(7月14日)、米国では昨年の独立記念日(7月4日)に実施されている。なお、俗に「軍事パレード」と呼ばれているが、これはあくまでも最高指導者に披露するための「閲兵式」である。

北朝鮮にとって軍事パレードは、他国よりも重要な意味がある。この国は、少しでも油断すれば圧倒的軍事力の米国によって滅亡させられるかもしれないと思っている。そのため、国連安全保障理事会や日米韓などの独自制裁を受け厳しい経済状況にあるにもかかわらず、多額の費用をつぎ込んで核を含む最新兵器の開発を続けている。

軍事パレードは、その軍事力を米国など国際社会に誇示する極めて重要な“舞台”なのだ。そのため、参加人数や登場する兵器の数が多いばかりでなく、この国にとって最重要兵器であるICBM(大陸間弾道ミサイル)の最新型でさえ公開している。そして毎回、百数十人の米国を含む海外メディアに取材させてきた。

「天馬(チョンマ)216」(2017年4月15日撮影)

米国東海岸まで、核弾頭をICBMで撃ち込む技術を持ったとされる北朝鮮。その最新兵器は、世界中が注視してきた。とりわけ武器の専門家たちは、パレードに登場した兵器で使われているボルトやナットまで細かくチェックしているという。

北朝鮮の軍事パレードは、5年または10年ごとの“整周年”に実施されてきた。これが行なわれる祝日は4月15日の金日成主席の誕生日、9月9日の建国記念日、10月10日の朝鮮労働党創建記念日が多い。ただし、2013年7月23日には朝鮮戦争勝利60周年、2018年2月8日には朝鮮人民軍創建70周年でも実施されている。

 

今までの取材では、軍事パレードの実施は事前に予告されなかった。日本出発前どころか、平壌のホテルを出て会場へ向かう直前まで知らされない。そのため、この年のこの記念日には行なわれるのではないか、との予測で取材申請をするのだ。空振りを恐れていたら、北朝鮮取材はできないのである。

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