「上級国民」大批判のウラで、池袋暴走事故の「加害者家族」に起きていたこと

家族は「逮捕してもらいたかった」と話す
阿部 恭子 プロフィール

再発防止に向けて何ができるか

近年、高齢者ドライバーによる死亡事故が社会問題化し、メディアも大きく取り上げる機会が増えたことから、高齢者と暮らす家族の緊張感も高まっている。事故が起こると必ず、「家族はなぜ止めなかったのか」という議論になり、家族に社会的制裁が及ぶからである。

しかし、家族連帯責任によって事故抑止を図ろうとするならば、家族関係は悪くなり家族間の暴力や虐待といった別の問題が生じるリスクを伴う。現実として、家族が日常生活のすべてを管理することは不可能に近いのである。

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「何度言っても親は運転をやめない」

という悩みを抱える家族は少なくないが、子どもの言うことを素直に聞く親など稀である。医師から助言してもらうか、一定の年齢以上運転免許を停止する法律を制定するほかない。公共交通機関が未発達で、タクシーもほとんど通らないような地域もあることから、全国一律ではなく地域の実情に即した政策が求められる。

事件を風化させることなく、再発防止に向けた教訓を導くこと――それが今、社会に求められている役割である。