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「東西ドイツ統一30周年」にドイツ国民が白けている理由

壁は崩れても溝は未だに埋まらない

ドイツ統一は未完成

10月3日の土曜日、ドイツ統一30年でドイツ中がお祭り騒ぎになるかと思っていたら、全然ならなかった。それどころか国民はかなり白けていて、華やかなものであるはずの政治家のコメントまでが悉く控えめだったので、正直言って、とてもビックリした。

ドイツの政治家は普段なら、自分たちのしたことについては無理やりにでも自画自賛するものなので、これは奇異なことだった。

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政治家が控えめだった原因として、東西ドイツの差がいまだに縮まらないという現実が挙げられた。東西ドイツは政治的には一つの国だが、30年経った今も経済格差など様々な不均衡は完全には解消されていない。つまり、統一は未完成なのである。

ドイツ統一が無血革命といえる偉大な事業であったことは間違いない。そして、統一の後、新生ドイツが全力を上げて、旧東ドイツ地域の復興のために莫大な投資をしたことも嘘ではない。

東ドイツの経済は完全に破綻していた。道路や鉄道、水道、電気などすべてのインフラが老朽化し、環境破壊も凄まじく、それらが一から改善されなければならなかった。その上、一度も掛け金を払ったことのない人たちが、医療保険や失業保険や年金を受け取ったのだから、西のお金はすごい勢いで東へ流れた。

だから西の人々が、自分たちが一生懸命働いたお金で、東の人々を養っていると思ったのは、ある意味、仕方がないことだった。

ただ、東の人々が西の人々にどこまで感謝していたかはわからない。彼らは、自分たちが西の人間よりも貧乏になってしまったのは、住んでいた場所の違いで決まっただけで、西の人間が自分たちより優秀、かつ勤勉であったとは思っていなかった。

 

その上、「同じドイツ国民なのだから助け合うのは当然」という気持も強かっただろう。結果、いつしか西は東をお荷物に思い始め、東は西を傲慢だと感じ、互いの不満が募った。

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