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コンサートホールの音響、部屋の形だけでなく実は見た目も重要です

「建築音響学」の最前線
我々が普段耳にする様々な音は、周囲にある障害物や部屋の壁によって影響を受けます。特に、音を聴かせるための設備であるホールなどは、よりよい音響のために音の反射が緻密に設計されています。

このような音と建築を研究する学問である「建築音響学」について、三重大学工学研究科の寺島貴根(てらしま・たかね)准教授にお話をうかがいました。

反射音の存在と効果

日常生活において反射音の存在を意識することはほとんどありませんが、室内で発せられた音は必ず反射音を伴って聴かれ、私たちはその効果による心理・生理的影響を受けているのです。

この室内における反射音の効果は、私の専門である建築音響学という分野で研究されています。

音の「響き」とは、物理的に言えば反射音の構造(耳に直接届く「直接音」に対する反射音の大きさ、遅れ時間や到来方向など)のことです。遅れ時間の小さい反射音は、直接音を補強して明瞭に聴こえることに寄与します。

また長い残響は広くて閉じた空間で生じ、潤いのある豊かな音楽を演出してくれます。さらに側方から到来する反射音は「音の拡がり感」に寄与し、「音に包まれた」音楽体験を提供してくれます。

一方、直接音から大きく遅れて分離して聴こえる反射音はエコーと呼ばれ、会話の明瞭性を損ねるなど邪魔な存在です。反射音はその構造によって有益にも有害にもなり得るのです。

 

空間の仕様と響き

室内の反射音の構造は、空間の仕様(室の大きさや形状、材質など)、つまり建築によってデザインすることができます。

これを建築音響設計と言い、様々な建築空間に対してその用途や広さに応じて快適に使用できるよう施されるべきものです。