知的障害者はセックスしてはいけないのか?

タブー視される「知的障害者と性」
門下 祐子 プロフィール

性被害に遭いやすい知的障害者

知的障害者が「性被害に遭いやすい」ことは、これまでの事件や先行研究から明らかになっている。

2019年7月、東京都江東区のマンションのエレベーターや外階段で、学校から帰宅した10代の女性高校生の身体を触るなどのわいせつ行為に及んだ容疑者は、「抵抗したり騒いだりしない知的障害者を狙った」と供述した。2019年12月には、大阪府大阪市の特別支援学級講師が、特別支援学級在籍の男子生徒の下半身を無理やり触るなど強制わいせつの疑いで書類送検された。

このように、見知らぬ人からだけでなく、身近な支援者や家族からの性暴力にも晒されている。教員や職員という立場を利用した残酷で卑劣な犯行は決して許されるものではないが、それらは他の虐待や問題と比べて可視化されづらいものでもある。暗数は計り知れないだろう。

知的障害者への性被害を語る一方で、知的障害者が引き起こす性犯罪が彼らへの偏見を助長していることも事実として認めなければならない。

2019年に公開された法務省矯正統計調査の新受刑者の罪名別能力検査値によると、強制わいせつ・同致死罪によって新たに刑務所に収容された280人のうち、IQ69以下であった者は41人であった。IQのみでは判断できないものの約15%が知的障害を有している可能性があると言える(強制性交等・同致死傷では、新たに収容された145人のうち、知的障害を有している可能性があるのは約9%)。

 

このように、知的障害者におけるセクシュアリティは、性被害や性加害の側面から話題にされやすい。これらを未然に防ぐための取組や事案を可視化させる取組は非常に重要であるものの、一方で知的障害者の「性の権利」や「学ぶ権利」についても看過してはならない。この点について社会はどのように捉えているのだろうか。