「おかえりなさい」は言えないけれど

『カネ恋』は、奇しくも様々な人たちの「心のほころび」を繕っていく物語だった。
春馬くんが逝ってしまって、もうすぐ3ヵ月。
『カネ恋』というドラマを最後まで観て、あの日できた大きな「心のほころび」が、少しだけ小さくなったような気がする。
もちろん、すっかりもとに戻ることはないのかもしれないが、この最終回に元気をもらえたことは確かだ。

ドラマのラストでは、玄関の戸が開き、慶太が帰ってきた気配がする。
玲子は「おかえりなさい」というセリフは言わない。黙って微笑んで、大きく頷いただけだ。

私たちも、春馬くんに「おかえりなさい」を言うことはできない
けれど、「さよなら」を言う必要もない

「さよならしたならさ、きっと新しい、いい出会いがあるよ」

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そう、慶太は玲子に言ったけれど……。

これからどんな新しい出会いがあったとしても。
他に好きな俳優さんができたとしても。
春馬くんは、春馬くんただひとり。

これからも、ずっと、心の中の大切な場所に住まわせていけばいい

私はこれからも、時に春馬くんをモデルにして小説を書かせていただこうと思う。
10代のころの、20代のころの春馬くんを目に浮かべながら。
30代、40代の春馬くんの姿を想像しながら。

そんな風に、たくさんの人たちの心の中で、
それぞれの在り方で、
春馬くんが、ずっと生き続けていくことを願っている。

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