頭が下がる松岡茉優さんの演技

そして、それと並行して描かれていく、登場人物それぞれの慶太への「想い」
それは、あくまで役柄としてのセリフなのだが、そのどれもが、役者さんたちひとりひとりの、「春馬くん」への想いとリンクしているようにも感じられる。

慶太に似ている猿彦を抱き上げて、
「ほんと……自由なヤツだなあ」
と、淋し気につぶやく早乙女(三浦翔平)。

「すぐヘラっと笑って、ひょっこり帰ってきますから」
と玲子を励ますガッキー。

中でも胸にせまったのは、鎌倉を訪れた慶太の両親の言葉だ。
慶太の使っていた民宿の部屋で、息子のことを語り合うふたり。

「(慶太は)人を笑顔にする才能を、生まれつき持っていた」
という父親役の草刈正雄さんのセリフは、春馬くん本人を思い浮かべながら言っているように見えた。
最後に、かみしめるようにいったひと言。

「あいつは、あいつのままでいい」

には、思わず涙腺崩壊だ。
春馬くんのことを、肯定してもらえたような気がして……。

そして、ダメ押しは母親役のキムラ緑子さんのセリフ。
「ママはいつだって、慶ちゃんの一番のファンだからね」
慶太のジャケットの袖を愛おし気に触りながら言ったその言葉も、春馬くんへの想いが込められていたのではないだろうか。

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脚本家の大島里美さんは、登場人物のセリフのひとつひとつに、春馬くんへのあたたかなメッセージを込めてくれた
そして、役者さんたちも、それぞれに自分自身の心を重ねて、春馬くんに届けようとしているかのようだった。

「淋しいみたいです」
「会いたい……みたいです。猿渡さんに」

そんな玲子のセリフは、そのまま私たちファンの心の声でもある。

玲子役の松岡茉優さんは、そのセリフを泣かずに言った
本当は、見えないところでどれだけ泣いたのかはわからないが、最後まで、しっかりと玲子役を演じてくれた松岡さんの精神力には頭が下がる。
実際、最終回の松岡さんも、本当に素晴らしかった。
大きな悲しみに耐えて初主演作を演じ切ったことは、女優としての大きな飛躍につながるのではないだろうか。

白石和彌監督の映画『ひとよ』で招待された2019年東京国際映画祭にて。松岡さんの演技力なくして、『カネ恋』はありえなかったし、最終第4話は一切成立しなかった Photo by Getty Images