初代葱師・清水寅氏

新規就農者がぶつかる“よそ者”の壁…ネギに最適な土地を求めて

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(6)
「1本1万円のネギが売れている」そう聞くと驚く人も多いのでは?
『ねぎびとカンパニー』社長・清水寅氏は脱サラ後に農業を始めた中途参入組。しかし今では『ねぎびとカンパニー』のネギは1本1万円の価値が付くほどに…。
注目書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』から毎日連載企画!
第6回では、ネギ農家デビューした寅氏が“栽培面積”にこだわったもう一つの理由について触れていきます。>>今までの連載はこちら!

畑が手に入りやすくなった

2020年にねぎびとカンパニーがネギを植えつけた面積は9.2町歩。畑は65ヵ所に点在しています。

8年目の2018年に10町歩まで増えた話はしましたが、2020年に初めて面積を縮小した。悪い畑を返還し、いい畑を新たに借りて、より少ない面積で栽培する方向に舵を切ったからです。

この背景には、この2~3年、畑が借りやすくなったことがあります。高齢化が進み、廃業する果樹園が増えてきた。山形県には果樹園が多いのです。

※画像はイメージです。Photo by iStock

ネギという植物は湿気を嫌います。水はけの悪い土地に植えると、腐ったり病気になったりしてしまう。だから、田んぼの耕作放棄地がどれだけ見つかっても、借りません。砂地の水はけのいい土地のほうがいい。

蕎麦畑だった土地は比較的合うのですが、畑に落ちている蕎麦の種が厄介です。蕎麦の繁殖力は雑草よりも強い。ネギより先どころか、雑草よりも先に蕎麦が大きくなってしまい、ネギの成長の邪魔をする。

それを考えると、果樹園はいい。一度、苗木を植えたら何十年と耕しません。地面の下が空気にさらされないので、土の中は嫌気性微生物の楽園です。有機肥料をよく分解してくれる。しかも、雑草を刈ったままにするので、緑肥をやっているのと同じ。借り受けたときから、土がフカフカな場所も多い。「水はけがいい場所」という条件さえ満たすなら、元果樹園はネギ栽培に最適といえます。