「日銀」のデジタル通貨を望む声が、ここに来て急速に高まってきた…!

民間サービスでは信用性を担保できない
鷲尾 香一 プロフィール

「民間のデジタル通貨」の限界

例えば、銀行は日銀に当座預金口座を開設している。企業取引などに関連して巨額の資金が動く場合、A銀行からB銀行に対して巨額の現金を輸送することはしない。この日銀にある当座預金を通じて銀行間の決済が行われる。この決済も口座間でのデータで処理される。つまり、これは「中央銀行のデジタル通貨」での決済ということになる。

この法貨を根拠とした中央銀行のデジタル通貨は、銀行の預金データとなり、個人がATMなどで現金を引き出すと、物理的媒体の紙幣や硬貨となって市中で利用されることになる。

photo by iStock
 

ところが、銀行口座までは「中央銀行のデジタル通貨」であった預金等は、現金化されずに、例えばドコモ口座などに移され、利用される段に「中央銀行のデジタル通貨」から「民間のデジタル通貨」へと変貌するのだ。

それは、通貨の基本である「誰でも、いつでも、どこでも、安全に、安心して利用できる」という前提が崩れるからだ。

仮想通貨も、クレジットカードも、デビットカードも、プリペイドカードも、ポイントカードも、あるいはドコモ口座のような電子決済サービスも「誰でも、いつでも、どこでも、安全に、安心して利用できる」という前提を満たさないからだ。

いずれのサービスも利用者を限定し、利用場所を限定する。そして、ドコモ口座の不正利用に象徴されるように、安全、安心が確保されているわけではない。

簡単に言ってしまえば、「誰でも、いつでも、どこでも、安全に、安心して利用できる」という前提のデジタル通貨を民間が提供するのは、ほとんど不可能だ