ネギ1本1万円で売る男が“ネギ”を選んだ理由は…「味にこだわりある人がいないから」!?

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(4)
清水 寅 プロフィール

営業1課ねぎびと

ネギを選んだ理由は、もうひとつありました。「味がわからなそう」というイメージでした。

トマトの品種にこだわったり、ジャガイモの産地にこだわったり、蕎麦の香りについて熱く語る人はいっぱいいます。でも「ネギは〇〇産しか食べない」「〇〇品種のネギしか買わない」といった声を聞いたことがありません。

『ねぎびとカンパニー』ネギ畑
 

消費者が味にさほどこだわっていないなら、ド素人の自分が作っても「まずくて食えない」なんて言われないだろう。味が関係ないとしたら、「どれだけたくさん作れるか」の勝負になる。自分のようなド素人でも、力ずくで勝てる気がしたのです。

まだ前の会社にいた頃、農業の事業プランを練ったことがあります。先日、そのプランを見つけて、笑ってしまいました。

社名として「営業1課ねぎびと」と書いてある。なぜ営業1課かというと、消費者金融時代に営業1課長として活躍したからです。営業には絶対的な自信がありましたから、得意なジャンルを農業にもちこもうと考えたのでしょう。

当初のイメージとしては、農作業はすべて従業員に任せ、僕は営業チームを引き連れて全国を売り回ろうというものだった。しかし、実際には、営業が得意な人なんて、一人も採用できませんでした。それどころか、栽培のほうをやってくれる人も集まらない。そんなわけで最初の1~2年は僕自身が畑に入り浸ることになり、「朝か夕方かもわからない生活」につながっていきます。

いずれにせよ、会社組織で農業をやることが前提だったわけです。大勢の人を集め、機械でなく人海戦術で勝負するという意味でも、ネギは最適でした。小ネギの場合は大規模農家がいるのですが、白ネギでは多くない。だとすれば「どれだけたくさん作るか」で日本一になれる可能性がある。

長く植わっているぶん避けられがちで、大規模農家が少なくて、機械化されていないため作業がきつくて、味がわかりにくいので生産量の勝負になって……。さまざまな要因から「ネギで決まりや!」となったわけです。

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