今年の夏は酷暑が続いたが、じつは、海の温度も異例の高さになっていた。
まずは、日本近海をカラフルに色分けした次の図を見てほしい。これは、8月の「平均海面水温」を示したものだ。日本の南の海域が、「非常に水温が高い」ことを示すピンク色で広く覆われ、平均海面水温30℃のラインにすっぽりと包み込まれているのが一目瞭然となっている。
気象庁が9月1日におこなった報道発表によれば、8月の月平均海面水温は「関東の南東」「四国・東海沖」「沖縄の東」の3海域で、記録が残る1982年以降で最も高くなったという。このうち、沖縄の東の海域では30.7℃を記録し、平年より2.1℃も高かった。
この異例な高さの海水温を招いた直接の原因について、気象庁は「太平洋高気圧が強く、暖かい空気に覆われ日射も強かったため」と分析している。そして、日本近海の海面水温(年平均値)は、100年あたり1.14℃のペースで上昇しつづけている。地球温暖化の進行にともなって、今回観測された「過去最高の海面水温」の値も、いずれまた更新される日がやってくるだろう。
防災面でやっかいなのは、海面水温が高まると、台風がより発達しやすくなるという点だ。
大きな被害をもたらした最近の台風では、大規模な停電を招いた2019年の「台風15号」(令和元年房総半島台風)が記憶に新しい。この台風では、千葉市で最大瞬間風速57.5メートルが観測された。同じ年に、新幹線の車両を水没させた「台風19号」(同東日本台風)も襲来している。
地球温暖化が進むと、台風の発生数そのものは全体として減る一方、「勢力が強い」台風の割合が増えると予測されている。なぜなのか?