画像:気象庁HPより

今週も襲来! 台風がますます「巨大化」「低速化」する理由とは?

「異常気象」が増える科学的メカニズム
台風14号が日本列島に近づいています。
最近の台風関連のニュースでよく耳にするのが、「猛烈」「勢力の強い」「ゆっくり北上中」などの言葉です。地球温暖化が進む将来は、日本列島が「猛烈な台風」に襲われるリスクが高まるおそれがあります。そして、台風は「巨大化」「低速化」すると予測されています。
それはなぜなのか?
どういうメカニズムに基づいているのか?
最新刊『温暖化で日本の海に何が起こるのか』が話題の科学ジャーナリスト・山本智之さんに緊急寄稿していただきました。

「過去最高」の海水温

今年の夏は酷暑が続いたが、じつは、海の温度も異例の高さになっていた。

まずは、日本近海をカラフルに色分けした次の図を見てほしい。これは、8月の「平均海面水温」を示したものだ。日本の南の海域が、「非常に水温が高い」ことを示すピンク色で広く覆われ、平均海面水温30℃のラインにすっぽりと包み込まれているのが一目瞭然となっている。

2020年8月の平均海面水温の分布図=気象庁HPから

気象庁が9月1日におこなった報道発表によれば、8月の月平均海面水温は「関東の南東」「四国・東海沖」「沖縄の東」の3海域で、記録が残る1982年以降で最も高くなったという。このうち、沖縄の東の海域では30.7℃を記録し、平年より2.1℃も高かった。

この異例な高さの海水温を招いた直接の原因について、気象庁は「太平洋高気圧が強く、暖かい空気に覆われ日射も強かったため」と分析している。そして、日本近海の海面水温(年平均値)は、100年あたり1.14℃のペースで上昇しつづけている。地球温暖化の進行にともなって、今回観測された「過去最高の海面水温」の値も、いずれまた更新される日がやってくるだろう。

「勢力が強い」台風が増える

防災面でやっかいなのは、海面水温が高まると、台風がより発達しやすくなるという点だ。

大きな被害を出した2019年の台風19号(令和元年東日本台風)=気象庁HPから

大きな被害をもたらした最近の台風では、大規模な停電を招いた2019年の「台風15号」(令和元年房総半島台風)が記憶に新しい。この台風では、千葉市で最大瞬間風速57.5メートルが観測された。同じ年に、新幹線の車両を水没させた「台風19号」(同東日本台風)も襲来している。

地球温暖化が進むと、台風の発生数そのものは全体として減る一方、「勢力が強い」台風の割合が増えると予測されている。なぜなのか?