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強大高圧中国は天安門事件で日本が育てた―外交文書公開、無残な中身

習近平訪日推進、まだ変わらないのか

「わが国の有する価値観」より重視するもの

外務省はこのほど、中国共産党・政府が学生らの民主化運動を武力弾圧した天安門事件(1989年6月4日)に関係した外交文書ファイル9冊(計3123枚)の秘密指定を解除した。

このうち事件直後の極秘扱い文書「わが国の今後の対中政策」には、「わが国の有する価値観(民主・人権)」より「長期的、大局的見地」を重視するとはっきりと明記。

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別の極秘文書には日本として中国を「息長く温かい目で見守っていく」と記し、流血の惨事の中、人民解放軍の発砲で死傷した市民の人権より、共産党政権に手を差し伸べる外交を優先したことが外交文書で裏付けられた。

事件から31年がたち、共産党は強権指導者・習近平国家主席の体制下で、中国国内の人権派弁護士らへの一斉弾圧のほか、香港市民、ウイグル人の人権問題もより深刻さを増す。

トランプ米政権による対中制裁強化だけでなく、欧州諸国の中国離れも進む中、日本政府は新型コロナウイルス感染で延期となった習氏の国賓訪日に向け再び動き出している。

中国強大化の原点は、皮肉なことに天安門事件にある。日本政府は、対中制裁を強めた欧米西側諸国を説得し、中国の国際的孤立回避に走り、率先して対中政府開発援助(ODA)を再開させた。

そして中国は日本を突破口に国際的孤立から抜け出そうと92年10月には天皇訪中まで実現させた。一方で天安門事件以降、中国の国防費はほぼ毎年2桁の伸び率を続けたが、日本をはじめ西側の開発資金が、軍事拡張路線を続ける中国の高度経済成長を支えた側面が強い。

 

習氏の国賓訪日を目指す対中外交を突き進む日本政府は、31年前の外交文書から教訓を汲み取る必要があるのではないだろうか。