弱音を吐かず、ひたむきな役に
私自身が追いつくように

――デビュー6年目、現在23歳。自分なりの足取りで女優業を邁進する松本さんが挑んだのは映画『みをつくし料理帖』。映画界の巨匠・角川春樹氏が映画監督として生涯最後と魂を込めた本作で、江戸の料理人としてたくましく運命を切り開く澪を熱演する。

「角川さんと初めてお会いしたとき、隣にいる事務所の社長まで緊張していて、独特の緊張感に包まれていたのを覚えています。角川さんの口から出てくるのはキャストもスタッフも日本の映画界を支えてきた錚々たるメンバーばかりで、お話を聞いているうちに変な汗が止まらなくなってしまいました。規模が大きな話であればあるほど、『本当に実現するのかな?』と現実感が伴わなくて。キャストの皆さんと脚本の読み合わせをしたり、撮影が始まってからやっと現実なんだなって。小さい頃からずっと画面を通して観させてもらってきた雲の上の存在のような方々とご一緒できるのは刺激でしかなかったです。

反町隆史さんが演じる易者・水原東西。Ⓒ2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

自分が出演しないシーンも見学させてもらったり、反町隆史さんが短いシーンだけのために登場する豪華さも驚きでしたが、短いシーンの中で刻みつけられる厚みのあるお芝居を間近で見させてもらえる経験はなかなかできないこと。薬師丸ひろ子さんとは1日だけご一緒させてもらったんですが、角川さんと薬師丸さんの絆を目の当たりにして、映画界の歴史を肌で感じる場面もありました。

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澪を演じる上では、私からすると澪はとてもすごい人。大洪水で親を亡くして、故郷を離れたり、好きな人を諦めてまで「道はひとつきり」と言い切る覚悟を持ち合わせていたり。弱音を吐かずに前向きに頑張る女性で、その真っ直ぐな姿で周りの心をも動かしていく存在。私もできるかぎり現場で澪のようでありたいと、追いつくように頑張らなきゃと背中を押されていました

撮影/生田祐介