思い詰めるといい方向にはいけない。
好きだからこそちょっと切り離して考える

――誰もが予想をしていなかった状況で先行きの不安に悲観的になる人も多くいる中で、松本さんは思いがけず訪れたステイホーム期間を満喫した様子。以前のような日常はまだ戻っていないとはいえ、再び多忙な日々に没入している彼女が心身ともに健やかでいられる理由がみえてきた。

「単純にいえば、お芝居の仕事が好きだからなんだと思います。いろんなことが経験できて、素敵な人にたくさん出会えるのもこの仕事の素晴らしいところ。デビューしてからまだ5年ですが、続けられているのは好きだから。お芝居に出会うまでは何をやっても続けられなくて、本当にダメな人間だなと思って過ごしてきたので。本当にやめたいと思ったり、もっと向いていることに出会ってしまったら方向転換する可能性もあるけれど、こんなに夢中になれるのは女優のお仕事だけなんです。

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でも、女優はあくまで職業のひとつ。生き方でも人生でもないので、思い詰めすぎていい方向に向けないなら手放したほうがいい。女優という仕事をとても愛していますが、少し距離をもって考えるのがいいのかもしれないです。お芝居が自分の全てになってしまったら、それを取り上げられたときに何も残らなくなってしまう。それがなくても大丈夫でいられる自分でありたいです」

撮影/生田祐介

――役柄を自在に行き来する姿を見れば、彼女の天職が女優であることは一目瞭然。好きなことを仕事にした宿命は、好きなものと苦しさが同居してしまうこと。その板挟みから上手に距離をとるのが彼女なりの心の保ち方なのかもしれない。

「悩んだときは、どちらかというと自分の中で抱えてしまうことが多いです。だからといって家族や友達に支えられてない、頼ってないわけではないんです。ふとしたときに地元の友達が『いつでもグチってね』と声をかけてくれることに励まされているし、母には大人げなく泣きついたりもします(笑)。今までも苦しむことはあったので、これから先も絶対訪れるはず。もうこの仕事を辞めたいぐらいまでのことはまだ自分に起こっていませんが、もしそうなったとしても周りに頼れる人の顔が思い浮かぶのできっと大丈夫だろうなって思います