連続テレビ小説『ひよっこ』で演じたメガネっ娘・澄子でブレイクし、2020年だけでも2本のドラマに出演しながら、主演映画が3本公開されるなど若手実力派として注目を浴びる女優・松本穂香さん。作品から作品へと渡り歩く多忙な日々は、心をすり減らす要因にもなりうる中で、彼女自身はピュアなまなざしでこう語る。

お芝居に出会って、仕事にできている幸せを日々感じます。でも、女優は生き方でもなければ人生でもなくて、あくまで仕事と捉えれば健やかでいられる」と。そんな彼女が担う最新主演作は、角川春樹氏が生涯最後の映画監督作品として世に送り出す映画『みをつくし料理帖』。錚々たるキャストとスタッフの中でも物怖じせず、どこかひょうひょうとしたマイペースな輝きを貫く23歳の素顔とは?

インタビュー&文/長嶺葉月

ゆったりとした時間は
娯楽の魅力に気づかせてくれた

――2020年、女優・松本穂香を取り巻く現状はとてもハードで忙しないもののように映る。ところがインタビューをはじめると、そんな現状とは裏腹に彼女が醸し出すおっとりとしたペースにあっという間に引き込まれていく。

「疲れているなと自覚するときは、周りに対して優しくなれない自分が出てくるので(笑)、今のところは大丈夫です。基本的に忙しさでウワーッとなることもありません。ステイホーム期間も、辛い方はすごく辛かったと聞きましたけど、私は毎日映画を観て、ペン字をやってみたり、たまに自炊をしてみたり……。ぼーっとしていたら2ヶ月が過ぎていました。自粛明けの取材では、『自分と向き合う時間になりましたか?』と質問をいただくことが多かったのですが、私の場合は仕事をしているときこそ、向き合いすぎ、考えすぎになってしまうので、逆に頭を落ち着かせる時間になりました

映画鑑賞ひとつでも、以前は『観なきゃいけない』と義務で観ることも多かったので、純粋に観たい作品を観ることも意外とできていなかったなぁと気づいたり。選ぶ作品も、いわゆるB級から余韻のある考えさせられる作品まで気分によってさまざま。何を観たか?って聞かれても思い出せないくらいの感じなんです。でも、そういうものなのかなとも思いました。映画は娯楽だなと改めて感じました。ここ数年、映画を娯楽として楽しむことを置いてけぼりにしていたので、いい時間を過ごせました

撮影/生田祐介

松本穂香(まつもと・ほのか)
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年、映画『風に立つライオン』で長編映画デビュー。その後、連続テレビ小説『ひよっこ』(17)で脚光を浴び、ドラマや映画、CMで活躍中。近年の出演作に、映画『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『君が世界のはじまり』、ドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』など。声優を務めるアニメーション映画『君は彼方』が11月27日より公開。