ラブコメだからこそわかる演技力

それにしても、「カネ恋」で見せる春馬くんの演技力は圧倒的だ。
目の動き、表情筋、身体全体から指先に至るまで、自由自在に操って、慶太の個性や微妙な心の動きを表現している。

10代からの長いキャリアの中で、シリアスからコメディまで常に全力で演じてきた春馬くんの経験と演技力が、いかんなく発揮されているようだ。

2015年、『進撃の巨人』プレミアにて Photo by Getty Images

漫画や小説などにも言えることなのだが、難しいものを描くよりも、誰もが理解できる易しいものを描くことのほうが、実は難しいし、技量が必要となる。

『カネ恋』が始まる前、「三浦春馬の最後の作品がラブコメだなんて」「春馬くんのムダ遣い」という声をチラホラ目にすることがあった。

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が、格調高い文芸作品でも大作でもなく、軽いノリのラブコメの、一見おバカなキャラクターを魅力的に演じることのほうが、実は難易度が高い。
「猿渡慶太」は意外にも、役者としての真骨頂を発揮できる役だったようにも思える。

「三浦春馬のムダ遣い」などでは決してなく、このキャスティングは『カネ恋』というドラマに必要不可欠なものだったのではないだろうか。

2013年、台北で行われたショーにて。猿渡慶太はファッショナブルでチャーミングな「ボンボン」だ Photo by Getty Images