漫画家で小説家の折原みとさんは毎シーズンのドラマを必ずチェックし、雑誌のドラマ評に登場するほどのドラマフリーク。中でも三浦春馬さんについては、デビュー時から見続け、自身の作品のモデルとしたこともあるほどだった。
そんな折原さんが2020年10月6日で最終回を迎える『おカネの切れ目が恋のはじまり』をどのように見たのか。そしてそこでわかった三浦さんの力とはなにかをお伝えいただこう。
(こちらの記事には、1話~3話の内容に触れた箇所もあります。ご了承ください)

「三浦春馬」という役者の魅力と実力を存分に堪能

三浦春馬くんの最後の出演ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)が、いよいよ最終回を迎えようとしている。

全8回の予定が、脚本を変えて4話での完結。
予定していたストーリーやエピソードを十分に描ききることはできないにしても、このドラマをお蔵入りにさせることなく、世に出してくれたことに感謝している。

このドラマは、春馬くんが亡くなる前日まで撮影に臨んでいたという、まさに「遺作」だ。
その最後の姿を見ることは辛い……という方も多いかもしれない。

「今はまだ、辛すぎて観ることができない」という方の気持ちもよくわかるが、いつか気持ちが落ち着いてきたら、ぜひ観ていただきたいと思う。
春馬くんが、その俳優人生の最後に演じた「猿渡慶太」というキャラクターは、とても魅力的だから。
『カネ恋』は、「三浦春馬」という役者の魅力と実力を、存分に堪能できるドラマだから。

実写版『進撃の巨人』でエレンを演じ、ハリウッドでのプレスプレミアに参加したときの三浦春馬さん Photo by Getty Images

下手な役者が演じたら…

『おカネの切れ目が恋のはじまり』は、松岡茉優さん演じる「清貧女子」九鬼玲子と、対照的な「浪費男子」春馬くん演じる猿渡慶太が織りなすラブコメディだ。

おもちゃメーカー「モンキーパス」の経理部に勤める玲子は、鎌倉の古民家で民宿を営む母親と二人暮らし。庭の一角にある小さな庵で、つつましく静かな暮らしを送っている。

玲子は、店頭でひとめ惚れした1680円の豆皿でさえ、1年間悩んで購入を決意するほどの倹約家。
そんな玲子が満を持して豆皿を「お迎え」しようとした目前で、無造作にそれを買ってしまったのが慶太だった。

実は、慶太は玲子の勤めるおもちゃ会社の社長の息子。
営業部勤務だったが、アメリカ出張で700万円以上の無駄遣いをしてしまうほど、金銭感覚の欠落した「馬鹿ジュニア」だ。

とうとう堪忍袋の緒が切れた父親は、慶太にお金の使い方を勉強させるため、一時的に経理部に異動させることにする。
慶太の指導係に任命されたのが、玲子というわけだ。

さらに、高級マンションから追い出された慶太は、玲子の母親の民宿に転がり込むことに。
かくして、「清貧女子」×「浪費男子」の凸凹コンビによる物語が展開されていくこととなる。

慶太というキャラクターは、33歳にもなって世間の厳しさもお金の価値もわからない、お気楽で甘ったれのお坊ちゃん。
下手に演じれば救いようのない「おバカキャラ」になってしまうところだが、春馬くん演じる慶太は、とてもチャーミングだ。

クルクル変わる表情、無邪気な笑顔。
世間知らずで無神経なようでいて、根は純粋で素直。
一見軽薄に見えるが、実はナイーブで優しい。

慶太がただの「おバカ」ではなく、愛すべき人物として成立しているのは、その破天荒なキャラクターの芯に、春馬くん自身の誠実さや優しさが内包されているからではないだろうか。