デタラメを成立させるには物凄い熱量が必要

少し真面目なトーンでそう話してから、「でも」と、気を取り直したように明るく言って、「デタラメなことを成立させるためには、物凄い熱量が必要なんです」と続けた。
「今回のコロナで、演劇って、必要な人には必要だけれど、本当に必要とする人間の割合は少ないんだなってことを思い知らされました。でもだからと言って、“『半沢直樹』に出ていた俳優が2人も出てることだし、この機会により多くの人に観てもらいたい”とも、そう強くは思わないんです。演劇が世の中に大して必要とされていないことはわかったけど、『それならもっと演劇界を盛り上げられるよう頑張んなきゃ』とも僕は思わなかった。ただ、来てもらった以上は、コロナってことを忘れさせたいよね、っていうのはある。みんな頑張って生きていこう、みたいな作品にはなってないけど、我々の媒体が持っている力というのは、いっとき浮世を忘れさせるとか、その程度のものなのかもしれないし。“ちょっと憂さ晴らしに舞台でも”という感覚の人がもっと増えてくれるといいんだけどね」

撮影/阿部章仁

ひねくれた自然体――。成志さんを、女性誌的に形容するとしたら、そんな表現がしっくりくるだろうか。自分が舞台で演じるとき、どんなに権威のある作品であっても、“決して有り難がらないこと”をモットーにしているという。古典ならなおさら、その作品が持つアカデミックな感じを崩していきたいと思うのだそうだ。

「芝居ファンの裾野ってなかなか広がらないけど、たぶん、高校のときの演劇鑑賞会がトラウマになってるんですよ。大概教師から、『静かに観なさい!』なんて強制されるじゃないですか。でも、芝居の観方なんて、自由でいいと思う。真面目なタイプよりもやんちゃなヤツのほうが、よっぽど演劇に向いてたりするものだったりするし」

世の中が真面目モードに傾くと、つい、やんちゃだった少年時代の血が騒ぐ。
「50歳をとうに過ぎた今も、演出家から怒られたり、時々褒められたり。その、自分の不甲斐なさを楽しんだりしている自分がまだいます。いくつになっても、人から軽く見られたいタイプ”なんで、まだまだずっと怒られていたいかな(笑)」

『獣道一直線!!!』
『獣道一直線!!!』
一面識もない独身男性3人が次々と殺害された。三者三様、無関係と思われていた3つの事件だが、被害者にはいくつかの共通点が。事件に関心を持ったドキュメンタリー作家が、取材を続ける中で、ある一人の女性の存在が浮かび上がる――。演劇界の最強ユニットが6年ぶりに始動。「ねずみの三銃士」の生瀬勝久、池田成志、古田新太の3人に、山本美月、池谷のぶえをゲストに迎え、宮藤官九郎が脚本を、河原雅彦が演出を担当する。
10月6日(火)〜11月1日(日)PARCO劇場 9月26日より、入場制限緩和に伴い、チケット発売当初空席としていた座席を追加で販売中。長野、北海道、京都、福岡、高知、沖縄公演あり。
https://stage.parco.jp/program/judo