日本の「正式」の証、天皇「御名御璽」までデジタル化できるのか?

ハンコ廃止の行きつく先に
島田 裕巳 プロフィール

押すためだけの出張も

話を御璽に戻せば、それは純金製で縦横がそれぞれ9.0センチあり、重さは3.55キロにも達する。両手でないと持ち上げられない重さである。

したがって、御璽を押すのは天皇ではなく、宮内庁の職員である。しかも、曲がって押してしまい、失敗したら大変なので、担当の職員は、前日には酒も控え、早寝して体調を整えたりするという。

また、天皇がさまざまな行事に出席するため、泊まりがけで地方を訪問した際には、閣議が終わると、内閣官房の職員が、文書を天皇のいる現地まで運び、そこで決済してもらうという(この点については、山本雅人『天皇陛下の全仕事』講談社現代新書を参照)。

ハンコのためだけに出張する。これこそ、行政の無駄である。そうした意見が出てきてもおかしくはない。河野大臣は、果たしてこのことをどのように考えているのだろうか。

 

今のところ、このことを問題視している人もいないので、御璽を廃止せよという声は上がっていない。