日本の「正式」の証、天皇「御名御璽」までデジタル化できるのか?

ハンコ廃止の行きつく先に
島田 裕巳 プロフィール

頂点のハンコ「天皇御璽」

ハンコ廃止の報道に接するなかで、一つ気になったのが、では、天皇の「御名御璽」はどうなるのだろうかということである。

天皇は、詔書や法令に署名し、御璽を押印する。御璽には、「天皇御璽」と刻まれている。宮内庁の説明によれば、御璽が押印されるのは、「詔書、法律・政令・条約の公布文、条約の批准書、大使・公使の信任状・同解任状、全権委任状、領事委任状、外国領事認可状、認証官の官記・同免官の辞令、四位以上の位記等」であるという。

ハンコ廃止が叫ばれるなかでも、現在の時点では、御璽まで廃止するという話は出ていない。

しかし、御璽が押印されるさまざまな書類が、ハンコ廃止の対象になっている行政文書であることは間違いない。

行政文書とは何かは、公文書管理法で定められている。その第2条4項では、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書で、その機関において組織的に用いられ、保有しているものが行政文書だとされている。

宮内庁においても同様だが、同庁が扱う文書のなかには、皇室の私的な生活にかかわるものも含まれており、それは、いわば「皇室文書」として一般の行政文書とは区別されているようだ。

 

しかし、御璽が押印される文書は、憲法で定められた天皇の国事行為にかかわるものであり、それが行政文書であることは間違いない。行政文書からハンコを一掃するというのであれば、御璽が廃止の対象になっても不思議ではない。