F1の代名詞「フェラーリ」が大不振に陥っている。
フェラーリにとって2020年はF1チーム史上初めて「参戦1000レース目」の記録を打ち立てるアニバーサリーイヤー。それだけでなく、F1にとっても70年の歴史という節目の年。
本来ならその歴史と功績を感じながら、王者メルセデスに立ち向かう跳ね馬フェラーリに大いなる注目が集まるはずだったのだが。
自社所有サーキットのムジェロでのトスカーナGPはフェラーリの1000レース目を記念して、1950年代当初の燻んだ赤のカラーリングを復活させた。だが、決勝レースのペースにフェラーリがついていけず、ルクレールが8位、ベッテルは10位。完走12台の荒れたレースで、この結果である。
なぜ、こんな事態に陥ってしまったのか。
コロナショックで開幕が約4ヶ月ズレ込み、無観客で2020年シーズンが幕を開けると、フェラーリの異常事態が明らかになった。開幕戦・オーストリアGPの予選で、メルセデス、レッドブル・ホンダ、マクラーレン・ルノーなど多くのチームが前年のタイムを上回ってくる中、フェラーリは様子が違っていたのだ。
前年ポールポジションのシャルル・ルクレールは前年比で0.9秒遅く、セバスチャン・ベッテルは前年比で約0.6秒遅れとなり、なんと予選Q2で敗退となってしまう。いや、異常事態はフェラーリ本家だけではなかった。
ハース・フェラーリもアルファロメオ・フェラーリもタイムが伸びず、前年まで他チームに1秒差をつけられていたウィリアムズ・メルセデスにさえもアルファロメオ・フェラーリは後塵を拝してしまった。
いくらコロナショックでイタリアが大変だったとはいえ、レギュレーションの大きな変更がなかった年に前年よりもタイムが遅くなるというのは通常は考えられない。ましてやオーストリアGPのレッドブルリンクは1周が4.3kmしかない短いコースで、コーナーが9つしかない非常にシンプルなレイアウト。そこでの1秒の遅れは相当なビハインドである。