もてなし料理という源流

こうしてどんどんとさかのぼっていくと、映える盛りつけの伝統はずっと、もてなし料理にあったことが見えてくる。

飲食店は客をもてなす場であり、高級料理店は特別なときに行く人が多い。おせち料理も正月料理のもので、茶席ももてなしの場。御成は将軍をもてなし、神饌は神様を迎える。特別なときに装いをこらすように、料理と料理が出される空間も特別な装いをこらす文化が、日本にはずっと息づいてきたのである。

私たちが、時に映えを求める傾向を疎ましく思うのは、弁当が毎日のものとなり、外食がすっかり日常の楽しみとなってしまっているからかもしれない。

当たり前の生活の中で、いちいち「本質的でない」見た目にこだわるのはどうか。一番おいしい瞬間、撮影に興じる人たちへ冷ややかな目を注ぎ、見た目の派手さと食べやすさが両立しない料理に、うんざりする人もいるだろう。

しかし、映える料理の利点は、一般的には食欲をそそることにある。食欲をそそる理由は、そこにもてなしたい気持ちが表れるからである。

また、栄養のバランスが整っている場合もある。弁当や日々の料理で彩りを重視するのは、必ずしも映える内容にすることが目的ではない。そこには、栄養のバランスを、色で判断してきた私たちの歴史も含まれている。

五味五色五法、という言葉は、和食の基本とされる。五味とは、甘い、辛い、酸っぱい、苦い、塩味という味の種類を指す。五色は、白・赤・黒・青(緑)・黄という食べものの色。五法は、ナマ、煮る、焼く、揚げる、蒸すという調理法だ。これらの味つけや食材、料理法を考えながら採り入れることで、バランスのよい食事ができるという考え方である。