なぜ「映える料理」を求めるのか

2017年のユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれた「インスタ映え」。さすがに最近は、当時増えたようなビジュアルのインパクト狙いの商品は目立たなくなったものの、「映え」るモノは相変わらず注目される。

2年ほど前には、キャラ弁に対抗する「地味弁」という言葉も生まれたが、結局のところそれは、栄養バランスや味を優先させた弁当、というだけで、流行現象になるには真っ当であり過ぎた。

地味弁は今も昔もたくさんの人が作っているが、流行があまり盛り上がらなかったのは、それが当たり前のものだったからだ。そのことから逆に、世の中の主流は今も真っ当な地味な弁当ということがわかる。

〔PHOTO〕iStock

一方、飲食店で出される料理のビジュアル重視志向は、今も強い。

カラフルな具材をぎっしり詰めたサンドイッチ、具材たっぷりのグルメバーガー、フルーツなどがたくさん載ったパンケーキ、クリームやフルーツなどの層が美しいパフェ。高級料理店では、大きく芸術的な器に、抽象画みたいにスタイリッシュに盛りつけた料理が出される。

私たちはなぜ、映える料理を求めることを止められないのだろうか?

考えてみれば、映える料理は今に始まった現象ではない。2010年代にインスタグラムが普及する前にも、写真に映える料理は喜ばれたからだ。キャラ弁も注目されたのは、ブログが広まった2003年頃からで、映えを求める傾向は、写真投稿の広がりと共にある。

確かに映える料理を出せば客が撮影してSNSに投稿し、店や料理を宣伝してくれるため、店側の盛りつけ方が派手な方向へとエスカレートしていったという側面はあるだろう。では、インターネット普及以前、料理は地味だったのだろうか?