雑草は踏まれたり草刈りされても、根っこさえ残っていればいい。
それでは、草取りはどうだろう。根っこごと抜かれたらどうすればいいのだろうか。
踏まれたり、刈られたりするのと違って、草取りされれば、雑草本体が抜き去られてしまう。根っこごと抜かれたら、どうしようもないのではないだろうか。
どうすれば、草取りされることを成功につなげることができるだろうか。
根っこごと引き抜かれてしまった雑草は、もはや為す術はない。もし、引き抜いた雑草をそのまま土の上に放置してくれれば、根っこを生やして、再生することもできる。しかし、放置されず取り除かれれば、その雑草は、枯れゆくのみである。
ところが、驚くことに草取りされるような場所で強さを発揮する雑草もいる。
きれいに草取りをしたと思って満足していたら、しばらくすると、また一斉に雑草が生えてきたという経験はないだろうか。
じつは、このような雑草は、草取りをされることによって、増えていく。人間にとっては、残念なことに、草取りをすればするほど、草取りに強い雑草が増えていくのだ。
それでは、草取りに強い雑草は、どのようにして「草取り」という逆境をプラスに変えているのだろう。
草取りに強い雑草に求められる能力は、「チャンスを逃さないこと」である。
「幸運の神は前髪しかない」と言われる。そして、その神の後頭部ははげている。そのため、幸運の神が走ってきたときには、前髪をつかまなければならず、過ぎ去ったら捕らえることはできないというのである。