©Alamy Stock Photo/amanaimages

シリア内戦のウラで…命がけで猫を保護する「アレッポのキャットマン」の厳しい現実

アレッポのキャットマン

シリア内戦下で、通りに置き去りにされた猫たちの世話をし、「アレッポのキャットマン」として知られるようになった男性の活動を描いた『The Last Sanctuary in Aleppo』。この本の翻訳を手がけたジャーナリストの大塚敦子氏による、“コロナ禍の戦場”を克明に伝えるレポート。

命がけで動物たちを救助! アレッポのキャットマン

シリア内戦最大の激戦地アレッポで、取り残された猫たちを保護し、「アレッポのキャットマン」として知られるようになった男性がいる。彼の名はアラー・アルジャリール。戦争が始まる前は電気技師として働くごく普通の一市民だった。

彼はなぜそのような活動を始めることになったのか。それを語る前に、まずは今世紀最悪の人道危機といわれるシリアの内戦がそもそもどのようにして起こり、どのような経過をたどって現在に至っているのか、少しおさらいしておきたい。

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アレッポで瓦礫の中に取り残された猫を救うアラー

 

死者38万人超・“今世紀最悪の人道危機”シリア内戦

最初のきっかけは2010年12月にチュニジアで始まり、エジプト、リビアへと波及した市民による民主化運動「アラブの春」がシリアにも波及したことだった。

当初は平和的な抗議活動として始まったものが、アサド政権の武力弾圧に対抗してデモの参加者が武装するようになり、やがてシリアは内戦状態へと突入していく。

そこに諸外国が介入し、アサド政権を非難する欧米各国やトルコ、サウジアラビア、カタールが反体制側に肩入れする一方、ロシアやイランは政権を擁護。反体制側のほうでは諸勢力が入り乱れて分裂・統合を繰り返すなかで、イスラム過激派(ジハーディスト)の組織がいくつも台頭した。