日本人唯一の「韓国野球専門家」として20年、栗山監督らとの出会いが私を変えた

「野球の国際化」のために仕事をする
室井 昌也 プロフィール

心優しき生きた教材となった門倉さん

前年オフに巨人を退団した門倉さんはメジャーリーグでのプレーを目指し渡米するも、開幕前にマイナー行きが決定。そのタイミングで巨人退団時から誘いを続けていた、韓国・SKに移籍することを決めた。

先発投手して1年目に8勝を挙げた門倉さんは、2年目の2010年は開幕から無傷の7連勝。最終的に14勝を挙げて、キム・グァンヒョン(現・カージナルス)とのWエースでチームを韓国チャンピオンに導いた。

SKワイバーンズで大活躍した門倉さん(写真:ストライク・ゾーン)

門倉さんに登板の翌日、投球内容について尋ねると惜しげもなく、丁寧に教えてくれた。

「イ・ヨンギュ(現・ハンファ)は打ちたい気持ちが強い選手なので、こっちがマウンドを外すとリズムが乱れるタイプなんですよ」

そんな相手打者との間合いの取り方や、決め球に選んだ球種の背景、捕手のサインに首を振った意図など、筆者と門倉さんは、試合前の球場で延々と続けていた。

日の光を浴び、時折笑みを浮かべながら話す2人。その場所は一塁側ベンチではなく、まるで公園のベンチかのように、はたから見たら軽くおっさんずラブが入っているのではないかと思わせるような穏やかな雰囲気で、野球について語らっていた。

 

あまりに話が尽きず、通常なら先発投手がメディアと距離を置く、登板当日も試合直前まで2人で話し続けたこともあった。その日の門倉さんは3回途中3失点で降板。その試合、チームは勝利したものの、「次からは先発当日は話し込むのは止めましょう」ということになった。

門倉さんという心優しき生きた教材のおかげで、筆者は野球を深く理解できるようになった。その結果、門倉さんがフォークボールを投げる時のクセまで、わかるようになった。