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米露を重視しすぎた安倍政権のツケか…菅総理の頭を悩ます「対中韓外交」

「遠交近攻」一辺倒ではまずい

9月16日に菅政権が発足した。菅首相は、安倍政権を継承すると明言しており、外交面でも、日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策、「自由で開かれたインド太平洋」の戦略的推進、中国・ロシアを含む近隣諸国との安定的な関係の構築など、安倍政権の正統な後継者ぶりを発揮している。

特に、「自由で開かれたインド太平洋」とは、安倍政権の下で頻繁に使われたフレーズだ。本稿では、安倍外交の成果と今後の菅外交の課題について考えてみたい。

現在の日本を取り巻く外交課題をテーマ別に分類すれば、安全保障上の脅威への対応、歴史問題の処理、そして拉致問題の3つと考えられる。

その中でも最も重要なのが安全保障、すなわち地域の安定である。地域が不安定化すれば(例えば紛争の勃発)、法と秩序は容易に崩壊するからだ。

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中国が強化する海洋覇権

現在の日本にとって最も重要な安全保障上の脅威は言うまでもなく中国の台頭である。因みに「自由で開かれたインド太平洋」というフレーズは、中国の海洋進出に対抗する戦略概念として安倍政権下で考え出されたものだ。

海に取り囲まれた日本の周囲では、北方領土問題、竹島問題という二つの領土問題が存在し、かつ、東シナ海の尖閣諸島に対する中国の領有権主張という問題がある。

 

この中で安全保障上の脅威となっているのは、中国による尖閣諸島の領有権主張に他ならない。海上保安庁の発表によれば、尖閣諸島周辺の接続水域では毎月100隻程度、領海では毎月10隻程度の中国公船が確認されている。

さらに、中国は、東シナ海だけでなく、南シナ海でも「九段線」と称する境界を引き、南沙諸島などの領有権を主張し支配を進めている。

東シナ海は、朝鮮半島、九州、沖縄島の南西諸島、台湾、そして中国で囲まれる海域で、南シナ海は台湾、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、そして中国で囲まれる海域だ。