死にたい人からの電話に出続ける、坂口恭平さん

自殺志願者を救う「いのっちの電話」の生音声動画を公開します

対話をすればラクになれる
一見、外からは何の問題もないように見える人でも、心の病を抱えている人はたくさんいる。そんな人々の力になるべく、建築家・作家の坂口恭平さんは「いのっちの電話」という対話の場を設計しました。実際に電話をかけてきた悩める人との対話を収録した動画を特別公開します。
 
(編集部註:坂口さんに電話をかけてきた匿名の方々には、動画に収録する旨への承諾をいただいています)

苦しい時は電話して

僕は「いのっちの電話」という、死にたい人であれば誰でもかけることができる電話サービスをやっています。もちろん無償です。

本家本元「いのちの電話」がほとんどつながらないという現状を知り、2012年に一人で勝手にはじめました。

なんでこんなことをはじめたのか。自殺者をゼロにしたいと思っているからです。

 

僕がサービスをはじめた当初、自殺者は3万人を超えていました。それだけの数の自殺者がいる国は、果たして国として成立していると言えるのだろうか?

そんなことも考え、僕は新政府なるものを立ち上げたこともあるのですが、そのことは、講談社現代新書シリーズの『独立国家のつくりかた』を読んでもらうことにしてここでは割愛します。

でも文句を言うだけでも仕方がなく、やはり何か手を打たないと、と思った僕は「いのっちの電話」をはじめました。

沢山の電話がかかってきて、「お前の生活は問題ないのか?」と質問される方もいます。これまで、僕自身の鬱状態がひどい時以外であれば電話に出て、一人30分くらい話してきましたが、それ自体はそこまでストレスにはなっていません。むしろ、これは僕のためになっているところも大いにあると思います。

もちろん、1年に何万人もの電話を受けることはできません。僕にできるのは1日に5人が限界だと思います。

そこでこのたび、いつも電話で話していることを『苦しい時は電話して』(講談社現代新書)に書いてみました。ぜひお読みいただき、僕が電話で対応できない人々にも、「苦しくても死ななくていいんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。