僕は「いのっちの電話」という、死にたい人であれば誰でもかけることができる電話サービスをやっています。もちろん無償です。
本家本元「いのちの電話」がほとんどつながらないという現状を知り、2012年に一人で勝手にはじめました。
なんでこんなことをはじめたのか。自殺者をゼロにしたいと思っているからです。
僕がサービスをはじめた当初、自殺者は3万人を超えていました。それだけの数の自殺者がいる国は、果たして国として成立していると言えるのだろうか?
そんなことも考え、僕は新政府なるものを立ち上げたこともあるのですが、そのことは、講談社現代新書シリーズの『独立国家のつくりかた』を読んでもらうことにしてここでは割愛します。
でも文句を言うだけでも仕方がなく、やはり何か手を打たないと、と思った僕は「いのっちの電話」をはじめました。
沢山の電話がかかってきて、「お前の生活は問題ないのか?」と質問される方もいます。これまで、僕自身の鬱状態がひどい時以外であれば電話に出て、一人30分くらい話してきましたが、それ自体はそこまでストレスにはなっていません。むしろ、これは僕のためになっているところも大いにあると思います。
もちろん、1年に何万人もの電話を受けることはできません。僕にできるのは1日に5人が限界だと思います。
そこでこのたび、いつも電話で話していることを『苦しい時は電話して』(講談社現代新書)に書いてみました。ぜひお読みいただき、僕が電話で対応できない人々にも、「苦しくても死ななくていいんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。