かつて株・不動産は悪だったが今回は怨念はない
今年、コロナショックという新たな国難を迎え、バブル崩壊と比較されることが多くなった。
筆者は仕事で、1989年のバブルピーク時は証券業務に携わり、株式市場を含めた市場業務を体験してきた。その後、1990年代になって不動産のアナリスト業務を行った。
株・不動産市場についてバブル崩壊前後を過ごしながら感じたのは、株・不動産に対する「怨念」に近い国民感情がバブル崩壊の背景にマグマのように存在していたことだ。

類似した空気はグローバルにもリーマンショック後の金融危機時に感じられた。一方、今回のコロナショックでは、そうしたネガティブな意識がほとんど感じられない点に注目している。
1989年、平成元年をピークとした日本の株式市場は、平成のバブル崩壊後、海外市場では右肩上がりの上昇が続いたなか、日本は海外から隔絶されたかのような停滞状況が続いた。さらに、資産デフレに加えて円高というダブルパンチになった。
以上の資産デフレと超円高が重なる「雪の時代」は株・不動産を悪とする「バブル潰し」によって政策的にもたらされたものだった。