平手友梨奈という「壊れやすい奇跡」に震撼し、涙する…「欅坂ドキュメンタリー映画」の凄み

62歳のコラムニストも感涙した
堀井 憲一郎 プロフィール

平手友梨奈がメインのグループであり、「私はバックダンサーのつもりだった」と明言しているメンバーもいた。ドキュメント映画でそう発言している。平手友梨奈を引き立たせようと、そのために懸命に頑張った、という。

ただ、平手友梨奈は、天才肌のパフォーマーであるぶん、かなり繊細だった。

グループ内でひとり特別な位置に居続けることで、どんどん自分を追い詰めていった。

かなり早い段階で、このグループから距離を取りたいと言い出している(映画をみるかぎり、2017年の紅白歌合戦の直後のことだとおもわれるが、時間が前後して編集されているので時系列がつかみにくい部分もあり、私の勘違いだったら申し訳ない)。

そのときは全員が全力で止めたので、彼女は残ることになる。ただ続けてリリースされた『ガラスを割れ』『アンビバレント』という曲たちは、彼女をより孤独に、孤高の高みへと押し出す楽曲であった。彼女はより自分を追い詰める。

 

ドキュメント映画を見ていても、2018年以降の平手友梨奈が、かなり苦しそうで、見ているほうも息苦しくなってくる。

ライブで『ガラスを割れ!』のパフォーマンス中、歌に入り込みすぎて、見えないガラスを割ろうと無意識に無茶な行動に出る。予定されてないステージ前方の花道に走りでて、照明も追いつかず、そのまま全力での鬼気迫るパフォーマンスを見せ(ヘッドセットが完全にはずれていた)、そのあと花道から落下してしまった。キャプテンの菅井友香は、人生トップ3に入るほど驚いた、と証言していた。平手は搬送され、センターがいなくなった状態で残りのメンバーがライブをやりきった。

平手は完全にグループの動向から離れていく。

でも彼女のその神がかり的なパフォーマンスが、欅坂をすさまじい勢いで人気者に仕立て、アイドルとしてだけではなく、「圧倒的に見てる者を惹きつけるパフォーマー集団」としてそれまでにないエリアからの支持を受け、例をみない異質なアイドルグループへとなっていったのだ。

平手友梨奈の突出した才能がグループを引き上げ、そして同時に、グループとしての一体感をきれいに解体していった。

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