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ドイツ統一から30年、9割が「生活に満足」の一方で今も残る「分断」

ドイツ人の変化、そして不安…
2020年10月3日、ドイツは東西統一から30年を迎える。「鉄のカーテン」が崩れるなど思いもしなかった時代から「一世代」が経過し、ドイツ社会やドイツ人はどう変わったのか。在独ジャーナリストの福田直子氏が綴る。

ドイツ統一から30年

「ドイツ統一はありうるでしょうか」

1980年代、初めて訪れたドイツで、当時ミュンヘン大学政治学部のドイツ人教授のオフィスを訪れたとき、聞いたことがあった。

「それはないでしょう」

教授はいかにも「なんという質問をするのか」というような態度であったことを今でも覚えている。

そのようなことがありうるわけがない。冷戦時代たけなわの頃、「鉄のカーテン」が崩れ、東西ドイツが統一されるなどと誰が思ったであろうか。

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その政治学者はもともとドイツ東部、ドレスデン近くの出身であった。日本に住んでいたこともあり、中国びいきで、教授の秘書が、手にとることがはばかられるぐらい薄い中国の上等そうな陶器に入ったお茶を出してくれたことを覚えている。

教授は第2次世界大戦後、東ドイツから西側へ逃げ、大の共産主義嫌い。東西ドイツ分断の時代にあって、ソ連を頂点とする共産・社会主義は最も危険な思想であり、「封じ込む」必要があると信じる世代の人でもあった。

それからわずか6年後、ベルリンの壁が崩壊し、あっというまに「鉄のカーテン」が崩れ、1年後の10月3日、東西ドイツは統一した。

当時、東京でニュース雑誌の編集部に在籍していた筆者は、テレビで見る歴史的大ニュースに「まんざら自分は間違っていなかった」と思ったものだ。