エリート・安倍晋三が「庶民・菅義偉」にハメられ完敗した全内幕

まるで角栄の「権力奪取劇」のようだった
戸坂 弘毅

このとき菅は「全国一斉休校はやりすぎだ」と珍しく周囲に不満を漏らしただけではない。「一斉休校が決定したことを、首相が発表する当日の午後になってから聞かされた」と国会の場で明らかにした。

過去にも安倍と菅の意見が対立する局面は幾度もあったが、菅がその内情までも明かすことはなかった。不満を強めていた菅は、内情を暴露することであからさまに安倍をけん制したのだ。

そして、大きな転機が4月中旬に訪れた。新型コロナ対策として「一定額以上の減収世帯への30万円給付」を主導した政調会長の岸田に対し、幹事長の二階が公明党を巻き込んで、閣議決定まで終わっていた予算案を撤回させるという前代未聞の荒業を見せつけた。

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当初の案は、安倍が振り付けて「岸田主導」を演出したものだった。それが全面撤回を余儀なくされたことで、岸田の面目が丸つぶれになっただけではない。安倍自身が当事者能力を失っていることを白日の下に晒すことになったのだ。

表面的には、公明党代表の山口那津男が安倍に強く迫って予算案を撤回させた形になったが、二階が公明党に同調しなければ実現しなかったことは明らかだ。

菅は、創価学会で選挙対策を一手に担う副会長の佐藤浩と極めて親密な関係を築いている。この「事件」も、当初案に学会員から強い不満が噴出していることを聞きつけた菅が、二階にその情報を吹き込んだことが発端だと考えれば合点がいく。