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渦巻銀河の「左巻き」と「右巻き」、多いのはどっち?

人工知能で56万個の銀河を自動分類
今年の8月、国立天文台の研究グループは、すばる望遠鏡によって観測された56万個の銀河を人工知能によって自動分類することに成功したと発表しました。この研究では畳み込みニューラルネットワーク (CNN)という手法を用いたAIにより、銀河の形状を97.5パーセントの正解率という高い精度で分類したそうです。

この分類の結果から何がわかるのか、人工知能による宇宙の研究はどのように進んでいくのか? 研究成果を発表した但木謙一特任助教にお話を伺いました。
 

銀河の形から何がわかるのか

——まず銀河の「形」にはどのような種類があるのか教えてください。

銀河は大きく分けて2種類、「楕円銀河」と「渦巻銀河」に分類することができます。ぼやっと(楕円)球状に見えるのが楕円銀河、渦を巻いているように見えるのが渦巻銀河です。

左が楕円銀河、右が渦巻銀河(画像提供:国立天文台)

この形の違いは、銀河の年齢と関係しています。誕生してからあまり時間の経過していない段階では渦巻型をしていた銀河が、時間がたつにつれて楕円型に変化していくと考えられています。つまり、渦巻銀河は新しい銀河、楕円銀河は古い銀河ということができます。

もちろん、銀河の形はさまざまで、この2つのどちらともいえないものもありますが、ほとんどはこの2種類に分類することができます。

どちらにも分類できない銀河も存在するが、その数は少ない(画像提供:国立天文台/HSC-SSP/M. Koike)

——銀河を分類することで何がわかるのでしょうか?

それぞれの形の銀河がどれくらの割合で存在しているのかを調べることは、宇宙の成り立ちを解明するうえでとても重要です。とくに今回の研究で用いたような遠く離れた銀河を調べることで、その割合が時代によってどのように変わるのか、あるいは変わらないのか、ということがわかってきます。

これまで行われていた銀河の形態分類の研究は、地球から数億光年以内にある銀河についてのものが主でした。つまり数億年前の宇宙における渦巻銀河と楕円銀河の割合しかわかっていませんでした。一方、今回の研究では30億光年以上はなれた銀河まで分類することができました。

これは、すばる望遠鏡の高い能力のおかげなのですが、じつは遠くまで見られるということは、とてもたくさんの銀河を分類する必要があるということでもあります。

——そこでAIを使うことになったわけですね。

AI使って銀河を分類する手法に取り組み始めたのは3年ほど前のことでした。