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菅総理が本気で始めた「構造改革」が、ものすごい成果を出すための条件

「フルスペックのアベノミクス」の行方

菅義偉新政権が小泉政権を彷彿とさせる構造改革プランを次々に打ち出している。アベノミクスは当初、小泉路線を継承するとしており、構造改革を成長戦略の中核に据えていた。量的緩和策や財政出動はあくまでカンフル剤との位置づけだったが、安倍氏は在任中、この問題に手を付けることはなく、結局のところアベノミクスは量的緩和策だけに依存する形になった。

菅氏が本気で構造改革に取り組んだ場合、3本の矢をすべて揃えたフルスペックのアベノミクスが初めて実現することになる。市場は菅氏の改革に期待しているが、安倍氏の退任によって本格的なアベノミクスがスタートするというのは何とも皮肉だ。

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サプライサイドの経済政策にシフト

菅氏は自民党の総裁選に出馬した時点から、アベノミクスを継承すると主張していたので、経済政策に大きな変化はないと考えられてきた。実際、首相就任後も、経済政策を変えるという趣旨の発言は一切行っていない。だが、菅氏が打ち出した施策を見ると、アベノミクスには大きな変化が訪れようとしている。

最大の注目ポイントは、アベノミクスでは完全に忘れ去れていた構造改革路線が復活したことだろう。

菅氏は縦割り行政の弊害を強く主張し、各府省でバラバラに管理されているIT関連の業務を、新設するデジタル庁に集約する方針を表明。厚労省についても組織再編に言及するなど、行政改革を強力に推し進める意向を示している。

菅氏の改革は霞が関にとどまらない。携帯電話料金が大手3社の寡占で高止まりしているとして、料金の引き下げを強く求めたほか、地銀の再編にも言及。地銀の経営体力を高めるため、統廃合を進めていくとしている。地銀の融資先である中小企業の再編についても示唆しており、中小企業政策の基本となっていた中小企業基本法を見直すことで競争力を強化したい考えだ。