コロナ禍で凶暴化する「同調圧力」の時代を生き延びるために

情・絆・気持ちが支配する「世間」
鴻上 尚史 プロフィール

気まぐれな「世間」の恐ろしさ

「社会」の「法のルール」と「世間」の「情や絆のルール」はどちらが怖いのでしょうか。

裁判を受ける時に、裁判官から「今日は気分がムシャクシャしてるから、重めの判決を出すぞ」と言われたら、ゾッとするでしょう。

「法のルール」は明確です。気分や情では変わりません。そして、刑期を終えれば、晴れて出所できます。

けれど、「世間」の「情や絆のルール」は、終わりもつぐないの仕方も何も決められてないのです。コロナに感染し、「世間」から責められ、引っ越しをしても、それで終わりとは言い切れないのです。これがどんなに恐ろしいことか。

 

感染したんだから、責められても当然だと思っている人がいたら、それは「想像力」の致命的な欠如です。

岩手で感染者第一号が出た時に「キャンプに行ってたんだからダメだよ」と話している人がいました。「キャンプはダメ」は「居酒屋はダメ」「喫茶店はダメ」に簡単に変わります。

だって、国が旅行に行きなさいとキャンペーンを張っているのです。いつ、自分が責められる立場に立たされるか分からないのです。コロナとはそういう病気なのです。

「同調圧力」を生き延びるために

だからこそ、「世間」のカラクリを知ることから、「同調圧力」に対する戦いを始めることがいいと僕は思っています。

僕の分類だと「世間」には、1、年上が偉い 2、同じ時間を生きている 3、贈り物が大切 4、神秘的 5、排他的 という5つのルールがあります。

佐藤直樹さんの分類はぜひ本書で読んでいただきたいのですが、佐藤さんのルールも含めて、「世間」の特徴が浮かび上がってきます。

敵と戦う時、敵の正体が分からないことが一番怖いことです。でも、強敵であっても、敵の正体が見えれば戦い方が分かってきます。

「世間」という千年以上も続く日本文化の中枢の正体を知ることで、そこから生まれる「同調圧力」との接し方を知ることができるのです。

僕の言葉だと「世間」は中途半端に壊れています。コロナの時代になって強固な揺り戻しが来ていますが、本来は徐々に壊れているのです。

つまり、「世間」は無敵ではないのです。

知れば知るほど、戦ったり、逃げたり、無視したり、接し方がいろいろと考えられると思います。

息苦しい「世間」とどうつきあえばいいのか。どんな生き方があるのか。「世間」以外に道はないのか。「社会」とどうつながるのか。いろんな方法を佐藤さんと話しました。

ぜひ、『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』を手に取っていただいて、「同調圧力」との「戦い」を生き延びて欲しいと心から思います。