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コロナ禍で凶暴化する「同調圧力」の時代を生き延びるために

情・絆・気持ちが支配する「世間」

コロナ禍で暗躍する○○警察

コロナに感染するのは怖い、でも、もっと怖いのは、「あいつは感染した」と「世間」から後ろ指を指されることではないかと、感じます。

この「世間の後ろ指」を、SNSは完璧なものにしました。感染した人の名前を特定し、住所を公表し、顔写真までネットにさらします。

何人もの人が、感染した結果、引っ越しを余儀なくされています。

病気になって、みんなに迷惑をかけたと後ろ指を指されて引っ越しをする。江戸時代の風景かと思えば、21世紀の実話です。

 

僕がコメンテーターを務めている情報番組の取材では、引っ越しをするしかなくなった女性が「私がどんな悪いことをしたというんでしょう」と泣きながら訴えていました。

別の女性は、コロナにかかり、ようやく回復して仕事に戻ろうとした時に、「誰かにコロナにかかったことを言ったか?」と上司に聞かれ、はいと答えると、「職場に悪い噂が広がるといけないから、もう来ないでくれ」と言われました。実質的にクビを切られたのです。

ここには、法律はありません。

あるのは、「世間」から生まれる「同調圧力」と呼ばれるものです。

コロナ禍の中で、「自粛警察」「マスク警察」を始めとする「同調圧力」は、信じられないほど凶暴に荒れ狂っています。

この禍々しい現状になんとか対抗するためには、「同調圧力」を生む「世間」とはなんなのか? ということを知る必要があると僕は考えます。

日本人には「社会」が分からない

僕は、ずっと「世間」と「同調圧力」「空気」について考えてきました。

そして、「日本世間学会」を立ち上げ、リーダーを務める九州工業大学名誉教授の佐藤直樹さんもまた、ずっと、「世間」を考え続けてこられた方です。

2020年5月、僕は佐藤さんに緊急の対談を申し込みました。

二人共、何冊もの著書で「世間」について書いていますが、議論をすることで、「世間」と「同調圧力」に対して新たな発見や刺激があるかもしれないと思ったのです。

なによりも、二人が話すことで、「世間」や「同調圧力」に対する理解が日本に広がり、届く範囲が二倍になればいいなと思ったのです。

それが一冊の本になりました。

『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』(講談社現代新書)です。

本の帯には編集者の書いてくれた文章があります。

「生きづらいのはあなたのせいじゃない。日本社会のカラクリ=世間のルールを解き明かし、息苦しさから解放されるためのヒント」

この本の内容を見事に表しています。

「同調圧力」とは、「みんな一緒に」という命令です。

その「同調圧力」を生む「世間」とは、あなたと現在、または将来、関係がある人達のことです。例えば、職場や学校、近所の人達などです。

「世間」の反対語は「社会」です。

あなたと現在、または将来に何の関係もない人達のことです。同じ電車に乗った人とか、道を歩いている人、などです。

日本人は、「世間」のことはとても大切にしますが、「社会」は無視します。

もっと詳しく言うと、「社会」に属している人達とは、どういう風に会話していいのか分からないのです。