ヨルシカ、YOASOBI、ずとまよ…10代がハマる「ネット発」ユニットの共通点

「夜好性」が愛するもの
小松 香里 プロフィール

フィジカル(CDやDVDでのリリースのこと)の初回生産限定盤には、手紙や歌詞といったアイテムが付属している。こうした物理的なアイテムによって自分たちが作り上げている世界観のイメージを確固たるものにし、ヨルシカの根幹は“物語”なのだということを強く印象づけた。

それを発展させたのが最新アルバム『盗作』(2020年)だ。“音楽の盗作をする男”を主人公にしたコンセプトアルバムで、初回限定盤は約130ページのm-buna自身の書き下ろし小説「盗作」を含めた書籍型の装丁でカセットテープも付いた仕様である。

ほとんどの楽曲に何らかのリファレンス(参照先)が存在しており、それは見方によっては「盗作」であるかもしれないという現行の“音楽”が置かれた状況と向き合った批評性の高いコンセプトを持つアルバムだ。

 

ボカロ曲などに特徴的な「ネットライク」な、音の粒が際立ったリズミカルなピアノの旋律を基調としたサウンド・アプローチは、批評性の高いコンセプトに呼応するように、ジャズやロックのテイストを多く入れたダークなトラックが増えた。その物語を演じるsuisの歌声も、俄然表情が豊かになっている。

ネット発のアーティストだが、支持が広がるにつれて、上述したような、手紙やカセットテープをはじめとするアイテムなど、リアルでマテリアルなコンテンツによって“物語”を多層的にしているのがおもしろい。

2020年6月にはNetflixで全世界独占配信された長編アニメーション映画『泣きたい私は猫をかぶる』の主題歌とエンドソングと挿入歌を担当し、アニメとの相性のよさが示されている。MV(ミュージックビデオ)も最新作の「盗作」以外は基本的にアニメーションで制作されており、楽曲の物語にアニメが重なることによって、さらなる考察が生まれるというトピックも宿しているユニットだ。

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